米GM、米国内組立工場への40億ドル投資計画を発表
(米国)
シカゴ発
2025年06月16日
米国自動車大手ゼネラルモーターズ(GM)は6月10日、今後2年間で国内の3つの組立工場へ40億ドルの投資を計画していると発表した。ミシガン州、カンザス州、テネシー州の組立工場で、売れ筋の製品を中心に、ガソリン車と電気自動車(EV)の生産拡大を行い、年間30万台の増産を目指す。実現すれば、GMの国内生産能力は年間200万台以上となる見込みだ。この投資は、ドナルド・トランプ大統領による関税措置に対応したものとみられている。各工場の生産計画は次のとおり。
(1)ミシガン州オリオン工場:2027年初めからガソリン車のフルサイズスポーツ用多目的車(SUV)とピックアップトラックを生産(この結果、ミシガン州ハムトラミック工場はシボレー「シルベラードEV」、GMC「シエラEV」、キャデラック「エスカレードIQ」、GMC「ハマーEV」の専用の組立工場となる)。
(2)カンザス州フェアファックス工場:2027年半ばからガソリン車のシボレー「イクイノックス」の生産開始。2025年末までに2027年型シボレー「ボルトEV」の生産開始。次世代の低価格EV向けに、同工場への新たな投資を行う予定。
(3)テネシー州スプリングヒル工場:2027年からガソリン車のシボレー「ブレイザー」の生産を追加し、EVのキャデラック「リリック」と「ビスティック」、ガソリン車のキャデラック「XT5」を並行して生産。
同社のポール・ジェイコブソン最高財務責任者(CFO)は6月11日のドイツ銀行主催の自動車カンファレンスで、今回の投資について「われわれがいかに迅速に方向転換し、周囲の変化する環境に対して柔軟に対応できるかを示す好例だ」と述べた。また「米国EV市場でシェアが2位となった」と同社のEV売り上げの着実な伸びを強調するものの、オリオン工場については「EV市場の急速な拡大を想定し、大規模なEV工場にする計画だったが、現実とはならなかった」と述べた。同工場は2023年末から設備更新のため停止中で、2025年後半からEVピックアップトラックの生産を計画していた(オートモーティブニュース6月11日)。
なお、GMは5月27日にニューヨーク州のエンジン工場に8億8,800万ドル投資し、次世代エンジンの生産準備を進めると発表した(2025年5月29日記事参照)。
(星野香織)
(米国)
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