米GM、ニューヨーク州のエンジン工場に8億8,800万ドル投資

(米国)

ニューヨーク発

2025年05月29日

米国自動車大手のゼネラルモーターズ(GM)は5月27日、ニューヨーク(NY)州バッファロー市のトナワンダ工場に8億8,800万ドルを投資し、第6世代の新型V型8気筒エンジンの生産準備を進めると発表した。GMにとって、単一のエンジン生産施設への投資としては最大規模となる。

トナワンダ工場は1938年に稼働し、年間約40万基(2023年実績)のエンジンを製造するGMの主要拠点の1つだ。今回の新型エンジンは、大型トラックやスポーツ用多目的車(SUV)用に開発し、燃焼と熱管理技術の向上により、性能・燃費・排出ガス性能をバランス良く高められることが期待される。生産開始は2027年の予定だ。

GMは2035年までに米国で全新車をバッテリー式電気自動車(BEV)とする方針を堅持しているが、今回の決定は、同工場での電気自動車(EV)用モーター生産のための約3億ドルの投資計画を見直したものだ。EV市場の成長鈍化を受けた戦略的転換ともみられている(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版5月27日)。

GMのメアリー・バーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は「トナワンダ工場への多額の投資は、米国の製造業を強化し、雇用を支援するという当社のコミットメントの表れ」とコメントした。今回の投資により、同拠点で解雇の可能性のあった177人を含む870人の雇用を支える見込みだ。また、NY州のキャシー・ホークル知事(民主党)は「本日の8億8,800万ドルの投資は、工場で働く数百人の従業員にとって朗報だ。グローバル市場に世界クラスの製品を提供することで、NY州の製造業の伝統を強化することになる。GMのパートナーシップにより、トナワンダ工場に次世代の自動車技術がもたらされることを楽しみにしている」と歓迎した。同州はGMに最大1,696万ドルの税額控除を提供すると発表している。

(大原典子)

(米国)

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