急成長するインド保険市場、10年後は中国に次ぐアジア2位の規模に
(インド)
調査部アジア大洋州課
2025年06月09日
ドイツの保険大手アリアンツは5月27日、年次の世界保険レポート「Allianz Global Insurance Report 2025」を発表した。同レポートによると、2024年のインドの保険料収入(損保・生保・医療)は総額1,402億ユーロだった。アジアでは中国、日本、韓国に次いで4番目に位置し、10年後の2035年までには急速に市場が拡大して、中国に次ぐアジア2番目となる見込みだという。
2024年の全世界における保険料収入(損保・生保・医療)は、前年比8.6%増と2023年の増加率8.2%を上回り、総額約7兆ユーロに上るという。上位10カ国のうちアジアからは中国(2位、7,537億ユーロ)、日本(5位、3,032億ユーロ)、韓国(7位、2,323億ユーロ)、インド(10位、1,402億ユーロ)の4カ国が含まれる(添付資料表1参照)。
また、アリアンツは2035年までの今後10年間における、保険料収入の年平均増加率(CAGR)を予測している。全世界では年平均5.3%、総額5兆3,190億ユーロの増加を見込んでおり、約4割(総額2兆550億ユーロ)は生命保険が占めている。生命保険におけるアジアの保険市場をみると、中国(年平均7.8%増)が圧倒的な地位を維持する一方、最も市場が拡大するのはインド(年平均10.5%増)だとする。2035年には、インドの生命保険の保険料収入は約3,091億ユーロとなり、日本の約2,597億ユーロを抜いてアジアで第2位の市場規模になる見込みだ(添付資料表2参照)。
インドの保険市場が急成長する要因として、インド政府の保険促進政策によるものが大きい、と地元メディアは指摘している(「エコノミック・タイムズ」紙5月28日)。ニルマラ・シタラマン財務相は2025年2月1日、2025年度(2025年4月1日~2026年3月31日)の連邦予算案を発表する中で、保険業界の外国直接投資(FDI)の外資出資比率上限を74%から100%に引き上げると発表した。また、インド政府は2022年11月に「インシュランス・フォー・オール」を掲げ、インド建国100周年となる2047年までに、全国民に保険を提供するというビジョンを掲げた。FDI上限の引き上げにより、今後多くのグローバル保険会社をインドに誘致し、競争を加速させることで保険普及率の向上につながり、最終的には保険市場を拡大する狙いがあるとみられる。
(野本直希)
(インド)
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