米ロサンゼルス五輪に向けた調達の動き活発化
(米国)
ロサンゼルス発
2025年06月06日
米国カリフォルニア州ロサンゼルスでは、2028年のロサンゼルス五輪開催に向けた準備が急ピッチで進んでいる。
ホンダの米国子会社アメリカン・ホンダモーターは6月2日、オリンピック・パラリンピックの大会組織委員会(LA28)と、オフィシャルスポンサーの契約を発表した。ホンダは公式自動車パートナーとしてLA28と協力し、世界中から集まる何千人もの選手や大会関係者、世界から集まる来賓者が競技会場間の移動に使用する自動車だけでなく、電動スクーターやバイクなど多様なモビリティー製品を支援すると発表している。このほか、米国スタートアップのアーチャー・アビエーション(本社:カリフォルニア州サンタクララ)が5月15日にLA28の米国チームに対する電動垂直離着陸機(eVTOL)、いわゆる「空飛ぶクルマ(エアタクシー)」の供給を独占契約したと発表
している。具体的には、主要な会場に離着陸場を設置し、会場間を10~20分の飛行で移動できるようにするという。開催中の来賓者や関係者の輸送だけでなく、緊急時や警備サポートなどさまざまな場面で活用するという。
ロサンゼルス五輪開催に関連した調達案件や契約の決定が相次いで発表されている背景として、ロサンゼルス市が政府との契約機会を得るための中小企業向けのプログラム「Procure LA」を設置したほか(2025年5月1日記事参照)、中小企業庁や州、市の団体が提携して案件調達に特化したワークショップ
を毎週開催していることが挙げられる。
ロサンゼルス商工会は6月5日にオリンピック関連の案件調達に関する説明会を行った。五輪では、競技会場となる市、郡、州と広範囲で多くの物品・サービスの調達が見込まれることから、5月8日に調達情報プラットフォーム「Get In the Game」が設置された。企業はポータルに登録することで、各地域での案件を確認することができる。5月には既に約1,500社による登録があり、約200件が募集案件の候補として上がっており、このうち実際に調達担当者が実施した面談は50件を超えるという。ロサンゼルス市の調達ポータル「RAMP LA
」に加えて、ロサンゼルス郡の「Doing Business LA County
」にも登録することで、より多くの案件に入札する機会を得ることができる。政府調達案件の入札では、中小企業であることや地元企業といった条件に該当する証明の取得が必要となる。また、1万ドル以下などの金額の低い案件は競争入札が必要ない場合もあり、証明書と業務・サービス提供に関する評価書類(Capability Statement)のみで、面談プロセスに入ることもあるという。民間でも調達案件は随時進められており、スポーツとライブエンターテインメント運営会社「AEG」は多様な企業に等しくビジネスの機会を与えることを目的とし、「AEGサプライダイバーシティ
」により、多様性を持つ企業からの物品調達を行っている。
(サチエ・ヴァメーレン)
(米国)
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