米ロサンゼルス五輪で180億ドルの経済効果を期待、推進組織が今後の方針紹介
(米国)
ロサンゼルス発
2025年05月01日
米国ロサンゼルス・ビジネス協議会は4月25日、「ロサンゼルス市長による住宅・交通・雇用政策」に関するサミットを開催した。カリフォルニア州ロサンゼルス市のカレン・バス市長に加え、マキシン・ウォーターズ同州連邦下院議員(民主党)や、2028年に開催予定のロサンゼルス・オリンピック・パラリンピック大会組織委員会(LA28)のレイノルド・フーバー最高経営責任者(CEO)らが集まり、特にロサンゼルス火災からの復興やオリンピック・パラリンピック競技大会の今後の方針を議論した。
ロサンゼルス市長室経済開発部やメトロ鉄道、クラーク建設、ロサンゼルス・ローカル・イニシアチブ支援公社を含む関係者が登壇(ジェトロ撮影)
バス市長は「ロサンゼルスは2028年のオリンピック・パラリンピック開催に力を注いでいるが、その事前準備ともなる2026年のFIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップ開催が14カ月後に迫っている。優秀な人材やビジネスチャンスを増やす機会と捉えよう」と述べた。また「ロサンゼルスは火災からの復興を通じ、世界を受け入れる街としてイメージを改善していく必要がある」とした。
同市は国際競技の受け入れ準備に当たり、中小企業が政府との契約機会を得るためのプログラム「Procure LA」を設け、企業が調達のための登録から入札に必要な承認の取得、調達説明会に関する情報を得ることができることを紹介した。火災からの復興では、1,400戸以上の住宅に対する仮入居許可証発行や、自己申告制度の導入、被災した住宅所有者の許可手数料免除といった取り組みが迅速に進められている。
フーバー氏はオリンピック・パラリンピックの開催について、「ロサンゼルスでの開催は、他の都市にない大規模なものになる。その経済効果は約180億ドルと試算している」と発表した。これには約1,500万人の観客と206カ国・地域から参加する選手だけでなく、その家族の渡航や選手のトレーニングセンター確保が含まれており、競技開催に伴う直接的な収益だけでなく、二次的、三次的に派生する地元への経済効果を試算している。
ロサンゼルス市ではオリンピック・パラリンピックに向けた公共交通機関の整備も進んでおり、6月6日に地下鉄のロサンゼルス空港(LAX)駅が開設することが発表された。LAX周辺とオリンピック・パラリンピック競技会場となるソーファイスタジアムが所在するイングルウッドから南方のレドンドビーチまでの海岸線を結ぶラインと、市南東部ノーウォークからLAXまでの2つのラインでの鉄道移動が可能となる。これに加えて、ダウンタウンから西方のビバリーヒルズ、カリフォルニア大学ロサンゼルス校などのエリアも含めた延伸工事が進み、2025年秋に開通が予定されるなど、観光地などをつなぐ路線が次々と開通する予定だ。
(サチエ・ヴァメーレン)
(米国)
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