消費財買い替え補助金、一部地域では速いペースで消化進む

(中国)

武漢発

2025年06月26日

中国では消費財の買い替え推進政策が実施されているが(ビジネス短信特集「中国の設備更新と消費財買い替え推進政策の最新動向」参照)、5月末以降の江蘇省、重慶市、湖北省では、買い替えの補助金が一部制限される事例が発生している。

江蘇省商務庁市場運営・消費促進処によると、同省の消費財買い替え政策は停止していないが、補助金の上限額管理を実施しているという。また、重慶市商務委員会は5月下旬、公式ホームページの公開回答欄に、「市民による消費財買い替え政策への参加意欲が高く、第1段階の補助金は使い果たした。現在、関連部門は第2段階の消費財買い替え政策を起草している」と回答した。湖北省商務庁流通処の董偉氏は「湖北省の消費財買い替え政策は2025年の年間で実施され、12月31日まで続く」と明確に回答した上で、「現在、家電と3Cデジタル機器(注)の買い替え補助金のチケットは毎日先着順で限定発行している」と述べた。

中国社会科学院の財経戦略研究院財政研究室の何代欣主任によると、一部の地域で消費財買い替え政策が速いペースで展開されているのは、地域の消費構造や消費者の意欲と関係があるという。また、この政策に対する市場の需要が高く、消費者の購買意欲を刺激していると考えられる。

消費財買い替え政策の補助金としては、超長期特別国債3,000億元(約6兆円、1元=約20円)が割り当てられている。各地域への配分については、各地域の常住人口数や、域内総生産(GRP)、自動車や家電製品の保有台数、2024年の消費財買い替え政策と資金執行状況などを考慮しており、2024年の同政策の効果が良好な地域に傾斜配分されている。2025年1月から4月まで2回に分けて、全地域に計1,620億元が交付されており、第3四半期(7~9月)、第4四半期(10~12月)分として、残りの1,380億元が交付されるという。

国家発展改革委員会は現在、消費財買い替え政策の補助金は年間予算の約50%を使用しており、予定どおりの進捗としている。

(注)一般的に、「Computer」(コンピュータ)」、「Communication」(通信機器)、「Consumer Electronics」(家電)の3つのカテゴリーに属する電子機器を指す。

(高橋大輔)

(中国)

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