長安汽車は分離独立、東風汽車との経営統合は当面見送り

(中国)

成都発

2025年06月19日

重慶汽車工程学会の公開情報によると、重慶市に本社を置く中国大手自動車メーカーの長安汽車は6月5日、中国国務院の認可を受け、親会社である中国兵器装備集団から分離されると発表した。つまり、中国兵器装備集団の自動車事業が、独立した中央国有企業として再編されることを意味する。国務院国有資産監督管理委員会(国資委)が出資し、その傘下となる。

長安汽車と、湖北省武漢市に本社を構える東風汽車は2025年2月、それぞれの親会社である中国兵器装備集団と東風集団が、他の中央国有企業と経営統合に向けた準備を進めていると発表していた。その後、複数メディアは両社が経営統合するとの見方を報じていたが、東風汽車は6月5日、当面は関連資産や事業の再編に関与しないと明らかにした「第一財経」2025年6月5日)。

長安汽車は中国4大自動車メーカーの1つで、自動車製造において40年以上の歴史と実績を持ち、近年では、ガソリン車から新エネルギー車(NEV)への切り替えを急速に進め、同社車両のスマート化・インテリジェント化を積極的に推進している。今回の分離により、同社は、第一汽車(本社:吉林省長春市)、東風汽車(本社:湖北省武漢市)にならぶ3大中央国有自動車メーカーとなる。

中国国際貿易促進委員会(CCPIT)自動車産業委員会の王俠会長は6月6日、重慶市で開催された「2025中国汽車重慶論壇」に登壇(2025年6月13日記事参照)。「自動車企業の経営統合は、企業競争力の強化や経営管理の効率化のほか、競争力のない企業の撤退や内巻(注1)の是正といった意味を持ち、自動車産業の国際競争力を強化する重要な手段だ」と強調した。一方で、「政府主導による経営統合関連制度の整備やゾンビ企業(注2)の市場撤退制度の導入などは極めて重要だ」と指摘した。

(注1)内巻とは、過度な内部競争や業界内における悪質な競争を指す。

(注2)収益性が低いなどの理由により、本来は市場から退出するべきにもかかわらず、銀行などの支援により生き延びている企業を指す。

(王植一)

(中国)

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