サンクトペテルブルク国際経済フォーラム、プーチン大統領は好調な国内経済アピール

(ロシア)

調査部欧州課

2025年06月26日

ロシアのサンクトペテルブルクで6月18~21日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)が開催された。主催者の発表(6月24日)によると、期間中に1,084件、総額6兆4,809億ルーブル(約11兆9,897億円、1ルーブル=約1.85円)に上るビジネス関連文書が締結された(非公開の文書を除く)。

締結文書の中で特に額が大きいものとして、ロシア鉄道とアルファ銀行が鉄道インフラ開発のため、最大4,000億ルーブルの信用枠に関する合意書に署名した。また、サンクトペテルブルク市政府と統一造船会社は北部造船所の改修に関する合意書に署名した。2030年までに3,000億ルーブルの投資が見込まれる。

外国企業関連では、ロシアの投資ファンドのRC投資、その子会社のエネルギヤ・エクスポルト、中国の黒龍江省交投国際物貿集団は、ロシアから中国へ輸出される食品のトレーサビリティーシステム構築などに関する戦略的協力の枠組み協定に署名した。ロシア国営ガス最大手ガスプロムは中国石油天然気集団(CNPC)と国家石油天然気管網集団(パイプチャイナ)との間で、ロシア極東沿海地方のダリネレチェンスクと中国黒龍江省の虎林市をつなぐガスパイプラインの建設と運用の協力に関する合意書に署名した。

20日の全体会合(2025年6月24日記事参照)で、ウラジーミル・プーチン大統領が演説を行った。ロシアのGDPは過去2年間、世界平均を上回る成長率を達成しているとして、国内経済の好調ぶりをアピールした。中でも農業、鉱業、建設、物流、サービス、ITなど、非石油・天然ガス分野の主要産業が経済を牽引していると強調した。

世界経済については、BRICS諸国やグローバル・サウスの台頭による大規模な構造変化を指摘した。その上で、公平で持続可能な成長のためには、平等、コンセンサス(共通認識)、相互利益などを考慮する開かれた開発モデルが必要と説き、パートナー国の貢献を求めた。

ウクライナ情勢については、ロシア人とウクライナ人は実際には一つの民族であり、この意味でウクライナ全体がわれわれのものだと持論を展開した。また、ウクライナによるロシア・クルスク州への攻撃を理由に、ウクライナ北東部のスーミ州に8~12キロにわたる安全地帯を設置する必要があるとし、中心都市スーミ占領の可能性も排除しないと述べた。

サンクトペテルブルク国際経済フォーラムは1997年から開催され、今回で28回目となった。フォーラムには144カ国から2万4,200人を超える参加者が集まった。特にインドネシア、中国、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、サウジアラビアなどから多くの代表団が参加した。

(柴田紗英)

(ロシア)

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