欧州委、EU域内の医療機器公共調達から中国企業排除を決定
(EU、中国)
ブリュッセル発
2025年06月26日
欧州委員会は6月20日、EU域内の一部の医療機器公共調達から中国企業を排除する実施規則を採択した(プレスリリース)。今回の措置は、国際調達措置(IPI)規則(2021年6月10日記事参照)に基づくもので、IPI規則の措置が発動されるのは今回が初めてだ。欧州委は措置採択に先立ち、中国国内の医療機器公共調達でEU企業の参加が差別的な措置によって不当に制限されているとする調査報告書(2025年1月21日記事参照)を公表していた。今回の措置は既にEU加盟国による承認を得ており、6月30日から適用される。
実施規則によると、域内の医療機器公共調達のうち概算価額が500万ユーロ以上の入札に、中国企業が排除される。また、落札企業に対しては、設立国にかかわらず、提供する医療機器のうち中国製を契約額の50%以下にすることが求められる。
IPI規則には、欧州委が取り得る措置として、特定の域外国企業の排除だけでなく、一定程度不利に扱う「スコア調節措置」も規定している。欧州委は、より厳格な措置の中国企業排除を選んだ根拠として、中国国内の医療機器の公共入札の87%でEU製を含む輸入品が実質的に排除、あるいは差別的な要件を課されているとする調査結果を強調した。中国企業の排除は、こうした中国の措置に最も包括的に対処できる措置としている。
また、措置の基準値を500万ユーロ以上の契約に設定することで、金額ベースでは域内の医療機器公共調達の約59%を措置の対象にできる一方で、件数ベースでは約96%が対象外となることから、手続き上の負担も低いとして、今回の措置はEUの利益にかなうとしている。
(吉沼啓介)
(EU、中国)
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