アフリカ開発銀行年次総会、アフリカ域内資本の活用がテーマ

(アフリカ、コートジボワール)

アビジャン発

2025年06月10日

アフリカ開発銀行(AfDB)の年次総会が5月26~30日、本部を置くコートジボワールの最大都市アビジャンで開催された。91カ国から過去最多となる5,000人を超える関係者が参加し、「アフリカ自身の資本をアフリカの発展のために」をテーマに、アフリカ開発の展望について議論した。会期中に行われた次期総裁選挙では、モーリタニアの元経済相で、2015年から10年間、アフリカ経済開発のためのアラブ銀行(BADEA)の総裁を務めたシディ・ウルド・タハ氏が、全加盟国票の76%を獲得し、新総裁に選出された。

ホスト国コートジボワールのアラサン・ワタラ大統領は開会式で、アフリカには若く才能あふれる人材、豊富な天然資源と鉱物資源、魅力的な投資機会、有望な経済成長に牽引された潜在能力があり、アフリカ自身の資本を効果的に活用することで、より包摂的で、環境により良い強靭(きょうじん)な経済を構築することができると述べた。

任期満了に伴い2025年8月に退任するアキンウミ・アデシナ総裁は、自身が総裁を務めた10年間を振り返り、AfDBがアフリカの発展を加速させたと評価した。アデシナ総裁は、2015年の就任時に、1.アフリカの電化、2.食料増産、3.工業化、4.地域統合、5.生活の質の向上をAfDBの5つの優先的な開発アジェンダ(ハイ・ファイブス)として打ち出し、この10年間で1,020億ドルを投資し、5億6,500万人が恩恵を受けたとした。また、当該期間中に、AfDBの資本は930億ドルから3,180億ドルまで増加し、格付け評価において最高位のトリプルAを維持していると述べた。

会期中に発表された「アフリカ経済見通し(AEO2025)」によると、アフリカ地域の経済成長率は、地域諸国における改革の進展、マクロ経済管理の改善などにより、2024年3.3%、2025年3.9%、2026年4.0%に加速すると見込んでいる(2025年6月5日記事参照)。また、適切な政策を通じた税収や税外収入源の効率性の向上により、アフリカはさらに1兆4,300億ドル規模の域内資本を動員できるとの見解が示された。

AfDBは、2024年12月31日時点で、81カ国(アフリカ域内加盟国54カ国、アフリカ域外加盟国27カ国)が出資し、このうち日本の出資比率は5.279%で、ナイジェリア(8.962%)、米国(6.352%)、エジプト(6.212%)に次ぐ第4位だ。なお、ガーディアン紙など複数の報道によれば、米国のトランプ政権は2025年5月、議会に提出した2026年度(2025年10月~2026年9月)予算案の中で、アフリカ開発銀行に対する5億5,500万ドル規模の拠出金の削減を要求している。

(渡辺久美子、橘欣子)

(アフリカ、コートジボワール)

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