ペルー首相の所信表明、投資促進で2025年経済成長率4%目指す

(ペルー、米国)

リマ発

2025年06月16日

ペルーのエドゥアルド・アラナ首相は6月12日、議会で所信表明を行い、承認された。経済成長を重点目標に掲げ、2025年の実質GDP成長率4.0%(2024年は3.3%)の達成により、国民生活の向上を図り、2026年の新政権へ引き継ぐと訴えた。

経済成長の具体策として、公共・民間投資の促進を掲げた。公共投資では交通インフラや公衆衛生、住宅、農業、観光の各分野で、政府が案件の形成・実施を図る姿勢を示した。民間投資を促すため、規制緩和を加速させる(2025年5月30日記事参照)。許認可の審査などを簡素化することで、政府と地方自治体の競争力を高める効果もあるとして、意義を説明した上で、公正競争・知的財産保護庁(INDECOPI)で各省庁や自治体が管轄する5,050件の審査手続きなどを対象に、見直し作業に着手していると発表した。規制緩和を加速させることで民間投資が推進され、2025年末までに実質GDPを0.8~1.0ポイント押し上げる効果が期待できると強調した。

鉱業については、鉱山周辺の住民の福祉向上と持続可能な鉱山開発を進め、ペルー経済の発展に貢献する産業にすることを政府が約束すると述べた。一方、非合法鉱業による脱税、治安悪化、環境汚染などへの対策のために設置した鉱業合法化統合登録(REINFO)制度が十分に機能していない点にも言及した。政府は同制度の見直しを進めているが、議会関係者の反発から議論が長期化していることについて、「政府として無条件にREINFOを延期することはない」と従来の方針を説明するにとどめ、REINFOに代わる新しい制度の内容や導入時期についての言及はなかった。

4月に米国政府が発表した関税政策への対応について、ペルーは米国と自由貿易協定(FTA)を有するパートナーであるとともに、ペルー政府として閣僚級や事務レベルで米国政府との対話を継続しているとした上で、7月に官民ミッションを米国に派遣し、政治・貿易の両面で信頼関係を再確認する機会にする考えを明らかにした。

(石田達也)

(ペルー、米国)

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