トランプ米大統領の「純支持率」が就任以来最低値に、世論調査

(米国)

調査部米州課

2025年06月26日

米国のドナルド・トランプ大統領の支持率が徐々に低下しており(2025年6月18日記事参照)、最近の世論調査では、トランプ氏の「純支持率」(支持率と不支持率の差)が就任以来最低値となった。

経済誌「エコノミスト」と調査会社ユーガブは6月25日、トランプ政権などに関する世論調査結果(注1)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、トランプ氏の支持率は40%となり、「純支持率」はマイナス14ポイントと、就任以来最低値となった。5月中旬の世論調査では、マイナス8ポイントだった。

トランプ氏の重要事項への対応ぶりの「純支持率」では、「移民」が前週のマイナス8ポイントからマイナス4ポイントに持ち直したが、「雇用・経済」はマイナス12ポイントで前週から横ばい、「外交政策」は前週のマイナス12ポイントからマイナス14ポイント、「インフレ・物価」は前週のマイナス22ポイントからマイナス26ポイントに悪化した。

米国が6月21日にイランの核施設を攻撃したことに関しては、米国は「攻撃すべきでない」が46%で、「攻撃すべき」(29%)を上回った。支持政党別では、民主党支持者の67%、無党派層の50%が「攻撃すべきでない」と回答したが、共和党支持者は「攻撃すべき」が57%と過半だった。

「大きく美しい1つの法案」が医療関係者の雇用に影響

同調査では、2026会計年度(2025年10月~2026年9月)の連邦政府予算案(いわゆる「大きく美しい1つの法案」)への不支持は49%と、支持(31%)を大きく上回った。

同予算案によるメディケイド(低所得層のための医療保険制度)の約8,000億ドル削減が労働市場を押し上げてきた医療セクターの雇用削減につながり、労働市場の悪化が予想されるという(NBCニュース6月21日、注2)。

共和党内からも懸念の声が上がっており、ジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州)、スーザン・コリンズ上院議員(メーン州)は、メディケイドの支出削減の影響について警告を発している。同予算案による病院への資金提供の減少を懸念して、苦境に立たされている地方の病院を支援するための基金設立を検討しているという(「ウォールストリート・ジャーナル」紙6月24日)。

(注1)実施時期は6月20~23日、対象者は全米の成人1,590人。

(注2)S&Pグローバルの分析によると、2024年12月の全米の雇用増加数は全産業で25万6,000人となり、政府やヘルス・サービス部門では8万人と、その約3分の1を占めた。

(松岡智恵子)

(米国)

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