青島西海岸新区で日中企業座談交流会を開催、日系企業の投資環境向上に期待

(中国)

青島発

2025年06月10日

ジェトロは6月4日、中国の山東省青島市青島西海岸新区で日中企業座談交流会を中国(山東)自由貿易試験区青島エリア(以下、同エリア)管理委員会と共同で開催した。日本側からはジェトロや在青島日本総領事館、日系企業、中国側からは同エリア関連部門や中国企業の代表者など30人余りが参加した。同エリアの概況や進出企業への支援策、進出企業のビジネス事例が発表され、日中企業間の連携可能性について意見交換を行った。

同エリアの高善武副書記(管理委員会主任)は歓迎あいさつで、同エリアが2019年8月の設立(2019年9月3日記事参照)以来、332件以上の革新的施策を実施し、外資系企業1,200社以上が進出したと説明した。特に日系企業は丸紅、パナソニック、オリックス、伊藤忠商事などが133の拠点を設置し、投資総額は37億ドルに上ると述べた。また、「中日韓イノベーション協力センター青島基地」の構築を進めており、貿易、投資、金融、物流などの幅広い分野での協力拡大を呼びかけた。

ジェトロの高島大浩理事は開会あいさつで、山東省に1,500社を超える日系企業が拠点を構えている重要性を強調し、同省と「対話山東」など省レベルでの交流を継続していると報告した。また、青島西海岸新区との連携強化により、日中両国中小企業の安心した交流・協業環境づくりに尽力すると表明した。

同エリア進出企業からは、青島大明州精密製造科技の坂本斎総経理が、2018年の進出以来、政府当局の手厚い支援により事業拡大を実現したと報告した。交通インフラの整備、住環境の改善、産学連携の充実などを評価し、中小企業にとって心強い環境だと述べた。

また、青島中独生態園実業発展の李蘇総経理は、日本の大手商社との連携により日本製品の輸入業務を拡大し、2025年4月に開設されたGC Plazaでは日本製品専門エリアを設けていると紹介した。今後、ヘルスケア製品などのカテゴリー拡大に注力すると表明した。

意見交換では、3Dカメラなど工業用AI(人工知能)設備を手掛ける青島海之晨工業装備が、日本企業との合弁事業による競争力向上事例を紹介した。医療機器分野では30年の経験を持つ青島世通医療器械が、日本企業の中国市場参入支援サービスを提案するなど、具体的な協力案件も議論された。

なお、本交流会の前日、ジェトロの高島理事が青島市の王波副市長に対し、ビジネス環境の改善への協力を要請し、日系企業支援の強化で一致している(2025年6月10日記事参照)。

写真 日中企業座談交流会の様子(青島日本国際ビジネスハブ提供)

日中企業座談交流会の様子(青島日本国際ビジネスハブ提供)

(皆川幸夫)

(中国)

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