電子情報製造業のDX化加速へ、実施プラン発表

中国の工業情報化部と国家発展改革委員会、国家データ局は5月27日、「電子情報製造業のデジタルトランスフォーメーション（DX）に向けた実施プラン」を発表した。

同プランでは、電子情報製造業のDXとスマート化の加速に向けて、2027年と2030年までの目標をそれぞれ掲げた。2027年までに電子情報製造業のDX化とスマート化を支える新型情報インフラの基本的な整備を完了させ、一定規模以上の電子情報製造企業で主要工程の数値制御（NC）化率を85％超に引き上げるなどとした。2030年までにはDXを進めるシーンをさらに増やし、より完備されたデータ基盤制度の体系を構築し、電子情報製造業の工業データベースを基本的に完成させ、デジタルエコシステムを構築するとした。

同プランでは、目標達成に向けた重点業務として、（1）コアのデジタルインテリジェント技術の応用の加速、（2）段階的かつ体系的なDX化とスマート改造の推進、（3）ハイエンド化・スマート化・グリーン化の相乗効果によるアップグレードの加速、（4）ソフトとハードの相乗効果による多角的なDX基盤の構築、（5）DXサービス保障の強化といった5分野で構成する18項目の措置を示した。

（1）では、重要なコア技術や重点技術革新ロードマップの研究を推進し、産学研の協業で最先端技術研究を行うことを推奨するとした。また、企業が健全なデータ管理システムを確立するよう指導し、データ管理に関連する標準の導入を促進するとした。

（2）では、段階的かつ体系的にDX化とスマート改造を推進するとしている。具体的には、重点分野のDX事例やソリューションを発掘し、スマートで安全な産業サプライチェーンの構築を推進し、主要産業クラスターと産業園区のスマート化を図るとしている。

（3）では、リチウム電池と太陽光発電製品の研究開発や製造プロセスで、先進コンピューティング技術、IoT（モノのインターネット）、人工知能（AI）などのデジタルスマート技術の活用を加速させることや、企業がカーボンフットプリントの基礎データや製品のライフサイクル全体で炭素管理プラットフォームを構築し、産業チェーン全体の炭素排出量データの可視化と共有を促進することなどを挙げている。

なお、中国政府は2024年5月11日に開催された国務院常務会議で「製造業DX行動方案（アクションプラン）」を審議・可決しており、新型産業化や近代的産業システムを構築するために、製造業全体のDX・スマート化を推進するとしている（「新華社」2024年5月11日）。今回のプランで掲げた電子情報製造業のDX化推進は、製造業全体のスマート化の実現に寄与することが期待される。

（富永笑美子）