タイ・カンボジア国境で混乱続く、タイ政府が対応方針表明

(タイ、カンボジア)

バンコク発

2025年06月18日

タイのペートンタン・チナワット首相は6月16日、記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開き、カンボジアとの国境問題(2025年6月11日記事参照)について、現状やタイ政府の対応を説明した。

ペートンタン首相は平和的解決に向けて、2国間で取り組む意志を再確認した。6月14~15日に開催したタイ・カンボジア合同国境委員会(JBC)では、ナッタポン・ナークパニット国防副大臣を責任者とするタスクフォースが設置された。タスクフォースは、監視・通信・安全保障上の調整を担当し、6月下旬に開催する地域国境委員会(RBC)を支援し、両国の軍事的緊張を緩和することを目指す(6月17日付「ネーション」紙)。

国境管理(2025年6月12日記事参照)について、ペートンタン首相は、カンボジア側による軍隊や兵器の動きに応じて、開放時間を調整していると説明。タイ側は6月7日に国境の運用を一部変更して以降、トラックやカンボジア人学生などの移動を制限する措置を講じている(添付資料表参照、注)。6輪以上のトラックはタイ・カンボジア友好橋のみ通過が許可されるほか、タイ国民が観光・賭博目的でのアランヤプラテート・ポイペト検問所を通過することが禁止されている。

「バンコク・ポスト」紙(6月17日付)によると、カンボジア政府は、タイ側が国境を一部制限していることに対する報復として、タイ産の果物および野菜の輸入を禁止している。チャンタブリー県のバンハットレック検閲所では17日朝の時点で、野菜や果物、冷凍の海産物を積んだトラック約30台が停止している状況という。

また、カンボジアのフン・セン上院議長(元首相)は6月14日、SNSを通じて、タイに滞在するカンボジア人の移住労働者の帰国を促した(6月16日付「ネーション紙」)。タイ労働省・外国労働者管理局の発表(2025年5月25日時点)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、カンボジア人の移住労働者は、就労目的で日々越境する場合や一時的な就労許可を得ている場合を含めて、50万人を超える。

ペートンタン首相は、カンボジア側のSNSでの情報発信について、一方的な情報発信は国際関係に影響を与える可能性と懸念を表明。またタイ政府として、国際司法裁判所(ICJ)の強制管轄権や合意された2国間枠組みを超える行動を受け入れない方針を示している。

(注)タイ政府の国境管理措置の最新情報については、在プノンペンタイ王国大使館のFacebook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを確認することが推奨されている。

(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、カンボジア)

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