韓国大統領選挙、李在明氏が第21代大統領に当選

(韓国)

ソウル発

2025年06月04日

韓国の中央選挙管理委員会は、6月3日に投開票が行われた第21代韓国大統領選挙で、進歩(革新)系「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏が当選したと発表した。同委員会によると、最終的な得票数は、李氏が1,728万7,513票(得票率49.42%)で、そのほか有力な候補とされていた保守系「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)氏が1,439万5,639票(41.15%)、同「改革新党」の李俊錫(イ・ジュンソク)氏が291万7,523票(8.34%)などだった。なお、期日前投票などを含む投票率は79.4%で、1997年の大統領選挙(80.7%)以降、最も高かった。同委員会の発表を受け、翌4日、李氏が新大統領に就任した。

各候補の得票率を地域別にみると(添付資料表参照)、李新大統領は、進歩政党の基盤の強い光州広域市、全羅南道、全北特別自治道で多くの支持を集め、高い得票率を記録した。一方で、金氏は保守政党の基盤の強い釜山広域市や大邱広域市において、得票率を十分に上げることができなかった。前回の第20代大統領選挙の結果と比較すると(2022年3月10日記事参照)、釜山や大邱などの保守基盤の地域において、一部の票が進歩系に流れていることがわかる。

李新大統領は、民主的な統制の強化や国益中心の実用的な外交を選挙公約として掲げていた。また、半導体やバッテリーなどの先端産業への投資拡大や、地域主導型経済へのパラダイムシフトを通じて、「本当の経済成長」を実現させると宣言している。韓国では、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による非常戒厳(2024年12月4日記事参照)以降の内需不振や、米国の関税政策を受けた輸出への懸念などが影響し、2025年の経済成長率は韓国銀行(中央銀行)の予測値(5月29日発表)で0.8%にまで落ち込む見通しだ。今後、李新大統領による政治改革や経済の活性化への取り組みが期待される。

なお、現在の韓国国会の議席300席のうち、「共に民主党」が過半数以上の171席を占める。そのため、李新大統領は、同党と連携し、法案の可決や政策の推進を円滑に進めることができる。

(橋本泰成)

(韓国)

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