野党第1党候補が第20代大統領に当選、5年ぶりに保守政党の政権へ

(韓国)

ソウル発

2022年03月10日

韓国の中央選挙管理員会は、3月9日に投開票が行われた第20代韓国大統領選挙の開票結果を発表し、野党第1党候補の「国民の力)の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補の当選が確定した。今回の選挙は尹氏と与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補の接戦となり、最終的な得票数は尹候補が1,639万4,815票(得票率48.56%)、李氏が1,614万7,738票(47.83%)とその差はわずか24万7,077票(0.73%)だった(中央選挙委員会ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照、添付資料表1参照)。なお、期日前投票などを含む投票率は77.1%だった。

主な選挙の争点は、国内経済、とりわけ不動産価格が高騰した現政権への批判に関する改革や格差の是正などで論戦が繰り広げられた。不動産価格高騰に対し、尹氏は250万戸、李氏は311万戸の供給をそれぞれ公約として掲げた。また、外交関係においては、冷え込んだ日韓関係に関し、尹氏は「日本との関係を改善し、未来志向的に課題を解決する」と主張、これに対し李氏は、現政権の外交方針を踏襲するかたちで、朝鮮半島の非核化実現を中心としたバランス外交を見据えつつも、日韓関係の改善にも意欲をみせていた(両候補の選挙公約は添付資料表2参照)。

選挙の当選確実が伝えられた3月10日の未明、尹氏は選挙期間中の活動を通じ、「国のリーダーになるために何が必要か、国民の声をどのように聞くか、多くのことを学んだ」と述べつつ、「韓国の国民はどこにいても同じ国民であり、全て公正な待遇を受けるべき」とし、最優先は国民統合と述べた(聯合ニュース3月10日)。

さらに、韓国各紙は3月10日に公表した社説で、尹氏が直面する課題について取り上げた。朝鮮日報は、国際的な原油価格の高騰、ロシアのデフォルト危機、物価の高騰など韓国を取り巻く国際経済の状況が悪化する中、一刻も早く対応策を講じなければならないとした。中央日報は、尹氏に対し「勝利したという喜びは大きいだろうが、厳しい現実を忘れてはならない」「選挙陣営の大統領ではなく、国民の大統領なるという覚悟が必要だ」としつつ、「不動産問題や年金改革、規制改革、少子高齢化などの懸案が山積している」と内政問題の解決を促した。また、ハンギョレ新聞は、「尹氏が解決すべき第1の国政課題は新型コロナウイルスの克服と民間経済の回復になるだろう」とした。

(当間正明)

(韓国)

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