ドイツ機械工業連盟、中国企業と同じ土俵で競う枠組み要求
(ドイツ、中国)
ミュンヘン発
2025年06月17日
ドイツ機械工業連盟(VDMA)は6月12日、「中国との公平な競争に向けての要望」と題するポジションペーパーを発表した。中国企業が往々にして公正な競争をゆがめるメリットと補助金を享受しているとして、ドイツ政府とEUに対応を要求した。
VDMAは、中国の産業政策によって欧州の機械製造や産業プラント業界が大きな課題を突き付けられているという。「中国製造2025」(2025年4月23日記事参照)による支援を受けた中国企業は世界市場で常に強力な競合相手となっており、中国政府による不公正な国家援助がその後押しをしていると断じた。
VDMAが挙げたメンバー企業の政府へのメッセージは次の3点。
- 欧州の機械製造・産業プラント業界は中国企業と競っていく。自らの力で世界市場で再び強さを発揮したい。
- 世界市場で中国企業と競っていくには、欧州企業はより良い枠組み条件を必要としている。
- 競争は公正でなくてはならない。欧州企業は中国企業が国際的なルールを守らないことを許容しない。
VDMAはドイツ政府とEUに対して、欧州企業の競争力強化と、EU単一市場での公平な競争条件の導入について、次のとおり要求した。
〇欧州企業の競争力強化
- 手続きや規制対応の削減:特に中小企業の大きな負担となる持続性関連の報告義務からの解放。
- 税制の改革:税負担の削減と特にドイツの税制簡素化。
- イノベーションの促進:特にドイツでの研究助成や、研究手当、製造技術研究の拡大など。
- 戦略的重要技術の政策的支援:中国依存の軽減に向け、公共調達で市場アクセス除外基準やローカルコンテンツ基準導入も検討。
- 自由貿易協定(FTA)の締結:メルコスールやインドとの締結による新市場へのアクセス向上。
- 欧州企業の国際標準化活動の促進:中国の国際標準策定による優位性確保への取り組みに対抗。
- 競争力を高める輸出管理:特にドイツには中国向け輸出の明確な管理方針が欠如。
〇EU単一市場で公平な競争条件の導入
- 相殺関税の賦課:EUのアンチダンピングや反補助金ルールを順守しない第三国からの輸入への相殺関税の賦課。
- 単一市場の監視強化:EU基準を満たさない中国製機械類のEUへの輸出が後を絶たないため、監視を強化し、EU域外の違反企業は第三者機関の事前承認を義務付けるなどの対応が必要。
(鷲澤純)
(ドイツ、中国)
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