5月の輸出入も前年同月比増、米国向け輸出は加速
(ベトナム)
ホーチミン発
2025年06月17日
ベトナム税関局が発表した速報値によると、5月の輸出は395億9,545万ドル(前年同月比17.0%増)、輸入は390億4,488万ドル(14.1%増)だった。4月に続いて5月も、輸出入ともに前年同月を上回った。貿易収支は5億5,058万ドルの黒字(前年同月は3億6,118億円の赤字)だった。
主要国・地域別にみると、輸出は1位の米国が137億5,851万ドル(前年同月比36.1%増)、2位の中国が52億8,415万ドル(3.9%増)、3位の韓国が23億9,974万ドル(17.5%増)だった(添付資料表1参照)。
輸入では、1位の中国が162億1,978万ドル(前年同月比21.3%増)、2位の韓国が51億9,791万ドル(3.6%増)、3位の台湾が28億9,537万ドル(45.0%増)だった(添付資料表2参照)。
対世界輸出を品目別にみると、1位がコンピュータ電子製品・同部品、2位が機械設備・同部品、3位が電話機・同部品だった(添付資料表3参照)。コンピュータ電子製品・同部品は前年同月比52.4%増の91億5,300万ドル、そのうち米国向けが42.0%を占めた。
輸入の1位はコンピュータ電子製品・同部品、2位が機械設備・同部品、3位が織布・生地だった(添付資料表4参照)。
ベトナムは米国との2国間貿易協定の交渉を進めているが、米国はベトナムに対して、中国から輸入する工業製品への依存度を減らすことや、米国向け輸出品で中国産の部材の使用削減などを要求していると報じられている(ロイター通信6月3日)。加えて、米国は貿易赤字の削減も目指している中、5月の対米貿易黒字は121億6,215万ドルで、3カ月連続で100億ドル以上の黒字となった。巨額の黒字は今後の交渉に影響を及ぼす可能性がある。
米国向けの輸出を主要品目別にみると、1位がコンピュータ電子製品・同部品、2位が機械設備・同部品、3位が縫製品だった(添付資料表5参照)。コンピュータ電子製品・同部品が前年同月比74.6%増となっており、メーカーなどが米国向けの出荷を加速させているとみられる。
中国からの輸入を主要品目別にみると、1位はコンピュータ電子製品・同部品、2位は機械設備・同部品、3位は織布・生地だった(添付資料表6参照)。中国からの輸入では部材が多くを占めるが、輸入額全体の伸び率は4月の前年同月比30.6%増に対し、5月は21.3%増と鈍化した。
米国の調査会社S&Pグローバルによると、ベトナムの製造業購買担当者景気指数(PMI、注)は4月の45.6に続き、5月は49.8と、2カ月連続で50を下回った。米国の関税政策の動向を受け、米国向け輸出と中国からの輸入を中心に伸びがみられるが、製造業の景況感は好調とはいえない状況だ。
(注)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫水準、雇用状況、価格などの状況を評価する指数。0から100の間で変動し、50を超えると「前月比で改善や増加」、50未満は「前月比で悪化や減少」を表す。
(小林真龍)
(ベトナム)
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