早ければ2027年にボリビア経済状況が改善、元持続的開発計画相に聞く
(ボリビア、ペルー、チリ)
リマ発
2025年06月17日
ボリビア経済の課題と今後の展望について、元ボリビア持続的開発計画相で、地元調査機関ミレニオ財団(Fundación Milenio)専務理事のヘンリー・オポルト氏に6月14日に聞いた。
オポルト氏は目下の課題として、外貨不足、物価上昇、燃料不足を挙げた。政府は外貨規制をしており、貿易に携わるボリビア企業は外貨決済に苦慮している(2024年11月1日記事、2025年5月12日記事参照)。
中央銀行の統計によると、5月の消費者物価指数(CPI)上昇率は3.65%で、年率18.46%だった。物価上昇の原因として、外貨規制による国外送金のコスト上昇などのほか、各地で続いている道路封鎖による物流網の遮断もある。オポルト氏によると、物価上昇傾向は続き、2025年末のCPI上昇率(年率)は20%に達すると考えるが、25%以上を予想するエコノミストもいるという。
燃料不足は計画的なエネルギー政策と外貨の不足、道路封鎖の影響によるもので、産業活動と市民生活に打撃を与えているが、現在のルイス・アルセ政権で大きな政策転換は見込めず、厳しい状況が続くだろうとオポルト氏は話す。
今後の展望については、2025年8月17日に実施される大統領選挙の結果にもよるが、経済状況の改善は早くても2027年以降になるとの見方を示した。
オポルト氏は大統領選について、過半数の得票率などの当選条件を得る候補者がなく、10月の決選投票へ進むと予想している。与党で左派の社会主義運動(MAS)の分裂により、左派から複数の者が立候補する展開となる。MASもしくはそれに近い者が当選した場合、現政権と政策の方向性で重なる部分が生じ、経済状況の改善は難しくなる可能性があると見ている。
同氏は、新政権での外貨規制と中央銀行の独立性の扱いは重要なポイントになると考える。隣国のペルー、チリでは外貨規制や中銀の独立性について、国内外で心配する声はなく、この点がボリビアと異なるという。新政権発足後、経済政策が転換されたとしても、企業の生産や投資活動、個人消費に効果が表れるまでにある程度の時間は必要で、最も早くて2027年だろうと予測している。
ボリビア経済の課題と展望を語るオポルト氏(左側)(ジェトロ撮影)
(石田達也)
(ボリビア、ペルー、チリ)
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