湖北省、消費振興特別行動プラン発表

(中国)

武漢発

2025年05月20日

中国湖北省政府は5月9日、「消費振興のための特別行動プラン」を発表した。これは、中央政府が3月16日に発表した「消費振興特別行動プラン」(2025年3月24日記事参照)を具体化にした湖北省の政策という位置づけだ。湖北省のプランは7分野で構成されており、主な内容は次のとおり。

(1)都市と農村の住民の所得増加:賃金所得、経営所得、財産性所得の増加を促進する政策を挙げている。「51020」先進製造業クラスター(注1)などの建設、湖北省出身の企業経営者と同省に所在する大学の出身者による同省への投資促進などを通じて、住民の所得増を図る。

(2)社会保障の強化:育成、子育ての保障の強化、教育資源(学校)の供給の拡大、医療保障のレベルアップ、養老保障のレベルアップ、低収入者への基本生活保障などを挙げている。

(3)消費体験の質の向上:住民のサービス消費、農村の消費向上に加え、文化旅行娯楽消費の向上を行うとしている。具体的には、花見経済、シーズンに合わせたスポーツ、コンサート、アニメ関連イベント、eスポーツなどの振興・実施などがある。

(4)商品消費の質の向上:自動車、家電、キッチンや電動自転車の「買い替え推進政策」(ビジネス短信特集参照)を継続し、スマートフォンなどデジタル商品の新規購入にも補助を実施するとしている。自動車関連では、中古車取引市場の整備、高速道路のサービスエリアでの急速充電器の設置、都市部の公共駐車場の増加などだ。

(5)サービス消費のレベルアップ:湖北省で中国初、あるいは中部地域で初となる国内外の高品質・人気商品ブランドの店舗開設などの奨励。スマート養老、養老観光などシルバー経済の発展。氷雪経済の発展、夜間消費の発展、市内免税店の設置などを通じたインバウンド消費の促進。

(6)消費環境の改善:消費環境改善3年行動を実施し、10以上の分野で安心消費キャンペーンを実施する。安心消費約束企業(注2)を2万社以上育成し、理由なしで商品の返品、交換を約束する企業を1万社以上とする。

(7)消費制限の整理と最適化:休憩、休暇の権益を保障し、小中学校の春・秋休みの実施可能性を検討し、各級組合が従業員の療養休養の規模を拡大するのを奨励する。また、消費への不適当な制限を整理し、大型営利的公演、大型イベントなどの販売許可チケット数は原則として会場座席数の90%より少なくしてはいけない。

(注1)「51020」先進製造業クラスター:新世代情報技術、自動車製造、現代化学工業およびエネルギー、大健康、現代農産品加工、ハイエンド装備、先進材料、省エネ環境保護、インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)、宇宙、人工知能(AI)、生物バイオ、医療器械などを指す。

(注2)品質、価格、アフターサービスなどで、消費者の権益を保障するという約束をする企業のことを言う。

(尹飛)

(中国)

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