カナダのカーニー首相が新内閣を発表
(カナダ)
トロント発
2025年05月19日
カナダのマーク・カーニー首相は5月13日、新内閣を発表し、首都オタワのリドー・ホールで就任式が行われた。
新内閣は、閣僚29人(男性15人、女性14人)と、大臣政務官10人(男性6人、女性4人)からなる2階層制を導入した(添付資料表参照)。閣僚には、これまで閣僚経験のない新任15人が加わり、経済成長と対米関係に焦点を絞った選出と発表した。また、大臣政務官は枢密院議員として宣誓し、閣議文書にアクセスし、同等の審査と機密許可を受けた者となる。主な役割は、各閣僚が抱える幅広い職務範囲で特に重要とされる課題や優先事項についての補佐だ。責務に関する事項が議会で提起された場合に出席し、議論の支援や、政策に関する専門的な知識を提供すると説明している。
カーニー氏は新政府の政策最優先事項は5月27日の施政方針演説で示すとしており、「G7で最も強力な経済を築き、全ての国民に資する経済を実現し、戦略的な国家投資を推進する」と述べた。議会会期初日の5月27日には、カナダの元首に当たる英国王チャールズ3世が王位演説を行う予定だ。また、州・準州や先住民の協力の下に選定した将来的な経済成長を支える重要な国家プロジェクトを焦点とした第1回会合をサスカチュワン州サスカトゥーンで6月2日に開催する予定という。与党・自由党は選挙期間中、こうした国家プロジェクトを迅速に進めるため、即時に対応を行うための法案を提出し、国内の州間貿易に対する連邦政府の障壁を撤廃することを公約として挙げていた。
連邦政府は通常、年度の早い段階で予算を発表するが、フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ財務相は議会最終日6月20日の前までに提出するのは難しいとの見通しを示した。その上で、同氏の広報担当オードリー・ミレット氏は「秋の経済声明」を9月中旬に発表する予定と述べ、秋まで待つことで、米国関税などの経済的影響を評価する時間ができ、より明確な見通しが得られると説明した。自由党は、今後4年間で約1,300億カナダ・ドル(約13兆5,200万円、Cドル、1Cドル=約104円)の新規支出と減税を掲げており、財政赤字は従来予測を上回る見通しを立てている。
(井口まゆ子)
(カナダ)
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