コートジボワールDMO、近年の債務管理は順調との見解
(コートジボワール)
調査部中東アフリカ課
2025年05月07日
ジェトロは、イポ・ボリエ・デジレ・ウルフラン駐日コートジボワール大使、来日中のコートジボワール財務・予算省債務管理オフィス(DMO)のディアビ・ランシネ氏らへのヒアリングを行った。イポ大使は、2024年にアビジャンで開催された「日アフリカ官民経済フォーラム(2024年12月19日記事参照)」の成功は、日本企業のアフリカ投資への関心の高さを示しているとし、2025年は大阪・関西万博や第9回アフリカ開発会議(TICAD9)を通し、さらなる日本との連携を強めたい意向を示した。また、DMOのランシネ氏は、コートジボワールの財務状況の改善において、日本の企業や銀行からの関心に期待しているとした(取材日:2025年4月17日)。
(問)来日の目的は。
(答)DMOは、資金調達、インフラ、教育、医療など多分野のプロジェクト融資を管理する機関だ。潜在的な貸し手の拡大を試みており、日本の銀行や企業からの資金調達を支援する意欲が高まっていることを知り、市場調査を兼ね直接の意見交換のために来日した。
(問)債務残高のGDP比が改善(2024年11月11日記事参照)した理由は。
(答)コートジボワール経済は、コロナ禍前(2012年から2019年)までは比較的高い成長率と低いインフレ率を記録していた。過去5年間では、2020年のコロナ禍や2022年の(ロシアの)ウクライナ侵攻による食糧・エネルギー危機のため、医療費補助などで数年間高い支出を計上し、財政赤字を招いた。
その後の財政赤字はGDP比で2022年の6.8%から、2023年に5.2%に改善した。引き続きの歳入面での積極的な努力により、2025年には財政赤字のGDP比を3%程度まで引き下げることを目指している。
その過程で、債務は一時的に拡大した。ただ、その後は政府の積極的な債務管理により、IMFのデータによると、2024年の対外債務のGDP比は57.7%、2025年は56.9%と下降していく予測だ。
(問)リスク管理での重要点は。
(答)注意を払っているのは、債務残高の構成要素だ。リファイナンス・リスク、為替変動リスク、固定金利と変動金利の違いによる金利変動リスクもある。われわれのポートフォリオの約9割が固定金利で、実質金利が劇的に上昇した過去数年間は、リファイナンス・リスクの観点から見通しが良く有利な展開だった。現在は、常に機会を捉え、借り換えるチャンスを狙っている。過去に発行されたローンは残存期間が2~3年だったが、リファイナンスで11年に延ばした。現在では平均で7~7.3年の残存期間となり、特にサブサハラアフリカでは比較的好条件といえる。
左から1人目がDMOコネ氏、2人目がイポ大使、4人目がDMOランシネ氏(ジェトロ撮影)
(吉川菜穂)
(コートジボワール)
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