カナダ・トロント市内の一部地域でマグナの自動配達車を試験導入へ

(カナダ)

トロント発

2025年05月08日

カナダ・オンタリオ州運輸省は4月30日、カナダ自動車部品メーカー大手のマグナ・インターナショナルによる「自動運転車パイロット・プログラム(Automated Vehicle Pilot Program)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の申請を承認した。

マグナによるパイロット・プログラムは、運転手のいない自動三輪車が、小包のラストマイル配送(配達の最終区間)のため、トロント市内の限定された路上を試験運行するもの。2025年第2四半期以降に少数の車両から開始。追加車両の導入には運輸省のさらなる承認が必要となり、最大20台の運行が想定されている。車両は電動で、カーゴバイク(重い荷物を運ぶために設計されている自転車)と同程度の大きさ、セダン自動車と同程度の車高だ。また、トロント市の意見に基づき、安全確保のため、最高時速を32キロにとどめるとともに、各車両で即時対処ができるよう監督者が「追跡車両」に搭乗することや、複雑な状況下では、オペレーターによる遠隔制御が行われること、走行は制限速度40キロ以下の道路に限定すること、左折禁止(注)や、サイバーセキュリティーおよびプライバシー基準の順守などが取り入れられている。自動運転車の導入は、複数の米国の州においても着実に増加しており、トロント市は同市の都市環境における自動運転車技術と運用について洞察を得る機会を提供するものとしている。

オンタリオ州は2016年に、安全上の理由から運転手の搭乗を義務付けるなどの厳しい条件下において、同州の道路上で自動運転車の試験を許可する10年間のパイロット・プログラムを開始した。その後2019年に、自動運転技術の進歩に応じて、特定の条件下での無人自動車運転を含むなど、プログラムの更新を行っている。なお、オンタリオ州の規制では、自動二輪車やモーターアシスト自転車は自動運転車両とみなされず、道路での走行は許可されていない。

マグナが開発した車両は、2022年3月に米国ミシガン州デトロイト地域のピザレストランで試験導入され、同年9月の北米国際オートショーで自動運転システムと配送ソフトウエアの詳細が発表された。都市におけるラストマイル配送は、配送プロセスの中で最も費用と時間がかかる部分でもあり、配送者の経費削減と炭素排出量の大幅削減への寄与も期待されている。

(注)カナダは右側車線走行。左折は対向車線をまたぐ走行となる。

(井口まゆ子)

(カナダ)

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