中国南部からベトナム・ハノイまでの国際道路輸送ルートが正式に開通

(中国、ベトナム)

上海発

2025年05月20日

中国国営通信社の新華社は5月14日、中国からベトナムの首都ハノイへの国際道路輸送ルートが正式に開通したと報じた。このルートは、河口国境ゲート(雲南省)と友誼関国境ゲート(広西チワン族自治区)から2つルートを通り、ベトナムのハノイに至る。これは、大メコン圏(GMS)諸国との越境交通協定(CBTA)に基づき、中国のトラックがベトナムに初めて乗り入れたケースになるとしている。

GMSには、中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの6カ国が含まれており、CBTAはGMSの協力枠組みの下での越境交通円滑化に関する多国間協定だ(注)。CBTA証明書(通行許可証)を所持していれば、旅客車両や貨物車両は6カ国間で合意したルートを利用して輸送を行うことができる。この度、中国からベトナム・ハノイへの国際道路輸送ルートが正式に開通したことにより、従来と比較して、トラック1台につき約1日分の期間短縮が可能となった。また、輸送コストは800元(約1万6,000円、1元=約20円)から1,000元の節約となり、輸送の効率を大幅に向上させ、中国~ベトナム間の国際物流の利便性を高めた。

2025年は中国とベトナムの国交正常化75周年に当たり、中国政府はGMS諸国との越境輸送を促進し、関係国との連携を強化していくとしている。

中国国家統計局が発表したデータによると、2024年、中国からASEAN諸国向け輸出額は4兆7,136億元で、前年比13.4%増加し、全体輸出の16.4%を占めた。中国のASEAN諸国からの輸入額は2兆8,163億元で、前年比3.2%増、全体輸入の15.3%となった。

(注)国境をまたぐ輸送時には、道路や橋などのハードインフラの整備のほか、法制度などのソフトインフラの整備が重要で、CBTAはソフトインフラの整備を目指すもの。具体的には、通常越境の際に税関手続きは出国と入国の際に2度必要だが、それを1度に簡素化する。このほか、交通機関に従事する労働者の越境移動や、検疫など各種検査の免除要件、越境車両の条件、トランジット輸送、道路や橋の設計基準、道路標識や信号に関する事項などについて円滑化する。

(趙姝萍)

(中国、ベトナム)

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