トヨタが北米仕様の新型BEV発表、2026年販売開始

(米国)

ニューヨーク発

2025年05月19日

トヨタ自動車は5月15日、北米市場向けバッテリー式電気自動車(BEV)のラインアップに、新たなスポーツ用多目的車(SUV)モデルの2026年型「bZウッドランド(bZWoodland)」を追加すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社のBEVでは3モデル目となる。全輪駆動(AWD)を標準装備し、総電力量74.7キロワット時(kWh)のバッテリーを搭載し、最大航続距離はメーカー推定で約260マイル(約418キロ)となる。米国での発売は2026年初頭を予定している。

トヨタは米国市場で2022年第2四半期(46月)から「bz4X」、2023年からはレクサス「RZ」の販売を開始している。2025年第1四半期(13月)までの累計販売台数は、「bz4X」が34,729台、「RZ」が16,537台に達した。「bz4X」はスバルと共同開発した車両で、これまではトヨタの日本国内工場で生産してきた。一方、今回発表した「bZウッドランド」は、スバルの日本国内拠点で生産する予定だ(オートモーティブニュース、515日)。なお、スバルは20254月のニューヨーク国際オートショーで、トヨタと共同開発した「トレイルシーカー(Trailseeker)」も公開しており、両社のEV分野での協業が引き続き進展していることがうかがえる。

写真 トヨタ 「bZWoodland」(トヨタ提供)

トヨタ 「bZWoodland」(トヨタ提供)

写真 スバル「トレイルシーカー」(ジェトロ撮影)

スバル「トレイルシーカー」(ジェトロ撮影)

「bZウッドランド」は、X-MODEと呼ばれる四輪の駆動力や、ブレーキ制御を自動で行うオフロード走行システムを搭載する中型SUVだ。テスラが開発した北米規格(NACS)に対応した急速充電ポートを備えており、10%から80%までの充電時間は約30分。車体デザインはアウトドア志向で、後部の荷室容量は30立方フィート(0.85立方メートル)超を確保した。内装には14インチのタッチスクリーンとデジタルメーターを配置し、同社最新の安全装備の「Toyota Safety Sense 3.0」を標準装備し、自動緊急ブレーキやレーンデパーチャーアラート、ブラインドスポットモニターなどを搭載する。

2025年第1四半期の米国でのBEV販売台数は、前年同期比11.0%増の30万台と伸びたものの、2020年代前半のような勢いは減速している(2025年4月10日記事参照)。現在、政権や議会で議論されている環境規制の緩和や、クリーンビークル(CV)購入に対する税額控除の撤廃が実現すれば、BEV販売の押し下げ要因になる可能性が高い。市場の実情に即したかたちで今後、EVシフトがどのように展開するのか、注目される。

(大原典子)

(米国)

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