4月の米消費者物価指数の伸びは引き続き鈍化も、輸入依存度の高い項目で上昇が見られ始める
(米国)
ニューヨーク発
2025年05月14日
米国労働省が5月13日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.3%上昇となった。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同2.8%上昇で、前月から変わらなかった(添付資料図1、表参照)。コア指数の前年同月比を除き、市場予想を下回る伸びとなった。コア指数を年率でみた場合、前月比、3カ月前比、6カ月前比は、それぞれ2.9%上昇(前月0.7%上昇)、2.1%上昇(3.0%上昇)、3.0%上昇(3.0%上昇)だった。
品目別に前年同月比でみると、エネルギーは3.7%下落し、最大の押し下げ要因となった。また、この数カ月高い伸びを示していた鶏卵価格の伸びが鈍化したことなどにより、家庭用食品の伸びは鈍化し、外食も含めた食料品は2.8%上昇と、前月(3.0%上昇)から伸びが鈍化した。
コア指数では、財部門は0.1%上昇した。新車と中古車は伸びが上昇する一方、衣料品は伸びが低下した。サービスは3.6%上昇と、6カ月連続で伸びが低下した。物価のうち3割のウエートを占める住居費は4.0%上昇と、前月から変わらなかったものの、航空運賃やレクリエーションサービスなど需要減退が報告されている分野や、自動車保険などは伸びが低下した(添付資料図2参照)。
全体としてみると、トランプ政権による関税引き上げの影響はいまだ顕著には表れていないものの、前月比でみた場合、例えば、家電(0.8%上昇)、家具(1.5%上昇)、コンピュータ(0.7%上昇)などの項目で、比較的高めの伸びがみられ始めている。衣料品や玩具など、輸入依存度が高いながらまだ目立った価格上昇が見られていない項目も、在庫切れになった段階で徐々に価格が上昇することが予想される。このため、今後しばらくの間、財価格を中心に上昇圧力が続く可能性が高い。
(加藤翔一)
(米国)
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