新内閣発表、ベテランと若手双方を登用

(シンガポール)

シンガポール発

2025年05月23日

シンガポールのローレンス・ウォン首相兼財務相は5月21日、23日付で発足する新内閣の閣僚名簿を発表した。ウォン首相率いる与党・人民行動党(PAP)は同月3日の議会総選挙で、定数97のうち87議席を獲得するとともに、65.6%の得票率で圧倒的勝利を収めていた(2025年5月7日記事参照)。

新内閣では、ウォン首相を支える重要ポストにベテラン勢を配置すると同時に、今回初当選を含めた若手を多く登用した布陣となった。ガン・キムヨン氏は引き続き副首相と貿易産業相を兼務するほか、米国関税措置に対応する政労使代表の「シンガポール経済レジリエンス・タスクフォース」議長を務める。K・シャンムガム氏は内相とともに、国家安全保障調整相を兼務し、チャン・チュンシン氏は国防相と公共サービス調整相を兼務する。また、オン・イエクン氏は保健相と社会政策調整相を兼務することになる。ウォン首相は同日の会見で「(4人が)経済、国家安全保障、公共サービス、社会政策の4つの重要分野を管轄する」と述べた。

ウォン首相は今回、一般議員や初当選した若手議員の合計9人を、各省庁の大臣を補佐する役目を持つ国務相に登用し、指導層の世代交代を進めた格好だ。初当選議員からは、ジェフリー・シオ氏が運輸相代行、デイビッド・ネオ氏が文化・コミュニティー・青年相代行にそれぞれ就任する。同首相は「(大臣と副大臣の人数が)やや多くなったのは、移行期にあるため」と説明し、1~2年後に内閣改造を行う可能性を指摘した。

なお、ヘン・スイキャット前副首相と、テオ・チーヒエン前上級相兼国家安全保障調整相、マリキ・オスマン前首相府相は今回の総選挙を機に政界から引退した。

5月21日付の首相府報道発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、新内閣の顔ぶれは次のとおり(注)。

  • 首相兼財務相:ローレンス・ウォン(52)
  • 副首相兼貿易産業相:ガン・キムヨン(66)
  • 上級相:リー・シェンロン(73)
  • 国防相兼公共サービス調整相:チャン・チュンシン(55)
  • 保健相兼社会政策調整相:オン・イエクン(50)
  • 内相兼国家安全保障調整相:K・シャンムガム(66)
  • 外相:ビビアン・バラクリシュナン(64)
  • 教育相(兼社会・家庭開発省社会サービス統合担当大臣):デスモンド・リー(48)
  • 法相兼第2内相:エドウィン・トン(56)
  • デジタル開発・情報相:ジョセフィン・テオ(56)
  • 人材相(兼貿易産業省エネルギー・科学技術担当大臣):タン・シーレン(60)
  • 環境持続相(兼貿易産業省貿易関係担当大臣):グレース・フー(61)
  • 国家開発相:チー・ホンタット(51)
  • 社会・家庭開発相:マサゴス・ズルキフリ(57)
  • 首相府相兼第2財務相兼第2国家開発相:インドラニー・ラジャ(55)
  • 運輸相代行(兼上級国務相財務担当):ジェフリー・シオ(46)
  • 文化・コミュニティー・青年相代行(兼上級国務相教育担当):デイビッド・ネオ(47)
  • イスラム担当大臣代行(兼上級国務相内務担当):ファイシャル・イブラヒム(56)

(注)かっこ内の数字は年齢。年齢の出所は「ストレーツ・タイムズ」紙。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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