米新興EVメーカーのリビアン、イリノイ州にサプライヤーパークの建設を発表

(米国)

シカゴ発

2025年05月08日

米国の新興電気自動車(EV)メーカーのリビアン(本社:カリフォルニア州)は5月5日、イリノイ州ノーマル市の同社EV製造工場の近隣に約120万平方フィート(約11万平方メートル)のサプライヤーパークの建設をすると発表した。投資額は約1億2,000万ドルで、今後2年間で数百人のサプライヤーによる雇用と約100人のリビアンの直接雇用を創出する見込みだ。同社の主要なサプライヤーがパーク内に拠点を置くことによって、同社のEV生産に使用する部品の材料供給プロセスを改善することが狙い。同パークの建設は既に着手されており、2026年中に完了する見通しだ。

同社の発表によると、サプライヤーの一部は同パーク内で簡易組み立てと製造を行う。部品はキット化・順序付けがされ、同社のEV製造工場へ搬送される。同パークと製造工場の間に地下トンネルを建設することで、地域周辺の道路の交通量増加を回避して部品を効率よく運搬することが可能となるとしている。同社のR.J.スカリンジ最高経営責任者(CEO)は同パークの建設について、「現在生産しているピックアップトラックのR1と商用バンに加え、2026年に中型スポーツ用多目的車(SUV)のR2の生産を開始する際に、工場の生産拡大を可能にする鍵となる」と述べた。同社はR2生産のため、既存の製造施設を約110万平方フィート(約10.2万平方メートル)拡張する工事も進めている。

今回の投資に関して、イリノイ州のJ.B.プリツカー知事(民主党)は「(同州では、)単にEVを製造するだけでなく、投資を誘致し、労働力を強化し、EV製造サプライチェーンを強化するという全体的なエコシステムを構築している」と述べた。リビアンは投資と雇用を条件に、イリノイ州経済開発局からREVイリノイ(Reimagining Energy and Vehicles in Illinois)プログラム(注)に基づき、1,600万ドル相当の税額控除などのインセンティブの提供を受けている。今後、同パーク内に拠点を置くサプライヤーもREVイリノイプログラムによる支援の対象となる。

なお、同社は5月6日の株主向けの書簡の中で、昨今の貿易規制や関税政策、それらを要因とした消費者動向などを加味し、2025年の年間予想生産台数をこれまでの4万6,000~5万1,000台から4万~4万6,000台に引き下げた。

(注)イリノイ州への拠点移転や事業拡大を検討しているEV、太陽光発電、再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵などに関連する企業に対してインセンティブを提供するプログラム。

(星野香織)

(米国)

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