中国の工業企業の利益総額、前年同期比で増加に転じる
(中国)
調査部中国北アジア課
2025年05月14日
中国国家統計局は4月27日、2025年1~3月の一定規模以上の工業企業の利益総額が前年同期比0.8%増の1兆5,094億元(約30兆1,880億円、1元=約20円)だったと発表した。
伸び率(年初来累計、前年同期比)は2024年1~8月以来のプラスとなった(添付資料図参照)。
業界別にみると、全体の71.7%を占める製造業は前年同期比7.6%増の1兆826億元だった。
製造業以外では、非鉄金属採掘・選鉱業が62.3%増、非鉄金属製錬・圧延加工業が33.6%増だった。
国家統計局の于衛寧統計師は「設備製造業が工業企業全体の利益増加に重要な下支えの役割を果たしている」「ハイテク製造業が質の高い発展を牽引している」と指摘したほか、大規模設備更新や、自動車買い替え補助金などの消費財買い替え推進政策(ビジネス短信特集参照)の効果が引き続き表れているとした。
ハイテク製造業の利益は、1~2月の前年同期比5.8%減から3.5%増と増加に転じ、一定規模以上の工業企業全体の伸び率を2.7ポイント上回った。業種別にみると、航空宇宙機器製造業の利益が23.9%増、スマートコンシューマーデバイス製造業、電子産業専用機器製造業、電子デバイス製造業の利益はそれぞれ63.7%増、59.9%増、55.3%増だった。
大規模設備更新の推進政策の対象業界をみると、専用設備製造業と一般設備製造業の利益はそれぞれ前年同期比14.2%増、9.5%増となった。うち電子・電気機械専用設備製造、一般部品製造、文化・事務機器製造はそれぞれ56.3%増、24.6%増、9.5%増だった。消費財買い替え推進政策の対象分野では、ウエアラブルスマート端末製造、電動自転車製造、家庭用厨房機器製造などの産業の利益がそれぞれ78.8%増、65.8%増、21.7%増だった。
中国銀河証券のマクロ研究チームは今後の懸念材料として、米国による相互関税の影響が4月以降に表れ始める可能性があることや、物価が依然として低水準にとどまっていること、企業の売掛金の平均回収期間の長期化がみられており、住民所得や消費支出にも影響を及ぼす可能性があることの3点を指摘した(「新京報」2025年4月27日)。
(刈屋壮二郎)
(中国)
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