三菱重工、データセンター向け事業拠点を米テキサス州ダラスに設立
(米国)
ヒューストン発
2025年05月28日
三菱重工業は5月16日、米国テキサス州ダラスにデータセンター向け事業の新たな戦略・事業拠点を設立したと発表した。同拠点は米国三菱重工業〔Mitsubishi Heavy Industries America(MHIA)、本社:テキサス州ヒューストン〕の一部門として、データセンター向けに、電源、冷却、制御、電化のエンジニアリング技術や製品販売、サービスを提供する。
近年、増設が進むデータセンターは、エネルギーを大きく消費する。中でも冷却には、消費電力全体の40%を費やすとされる。同社は、デジタルサービスや人工知能(AI)の急速な拡大に伴い、高機能のデータセンターや高性能の画像処理半導体(GPU)チップ向けの効率的な冷却システムの需要の大幅な増加を見込んでいる。
バイデン前政権に引き続き(注)、トランプ政権も米国内のデータセンター事業への投資を奨励している。現政権の開始後まもなく、オープンAI、ソフトバンクグループ、オラクルの3社によるAI関連インフラの大規模投資計画「スターゲート」プロジェクトが設立され、テキサス州アビリーンで10棟のデータセンターを建設中だ(2025年1月28日記事参照)。
そのほかのテック大手も、テキサス州でデータセンター事業に積極的に投資をしている。アマゾンはオースティン北のラウンドロックに2025年4月から物流拠点を建設中で、同拠点はデータセンター建設許可も取得している。マイクロソフトは2025年3月、サンアントニオにあるデータセンターに140億ドル以上を投資して拡充する計画を発表した。テスラはオースティンにある本社や電気自動車(EV)車両「Model Y」、サイバートラックの製造拠点「ギガファクトリー」で、同社のスーパーコンピュータ「Dojo」などのAIハードウエア運用のためのデータセンターを2024年から建設中だ。グーグルはダラスにある既存のデータセンター2カ所に、10億ドルの投資を発表している(2024年8月21日記事参照)。
日本企業でも、三菱商事は2024年3月、ダラスでデータセンター建設を発表した。東芝と三菱電機が出資するTMEICは2025年4月に、ヒューストン近郊のウォーラーに、データセンター関連機器の無停電電源装置(UPS)やモータ・ドライブ装置などのパワーエレクトロニクス機器生産工場を建設中だ。2026年6月から生産開始予定で、グレッグ・アボット・テキサス州知事(共和党)も同社の投資を歓迎した。
(注)ジョー・バイデン前大統領は2025年1月、AIデータセンターインフラの増強に向け、連邦政府所有地でのデータセンター建設・運営を推進する大統領令を発令した(2025年1月15日記事参照)。
(キリアン知佳)
(米国)
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