イタリア防衛費がGDP比2%へ、メローニ政権与党の支持率、米国との首脳会談後も上昇
(イタリア、米国、EU)
ミラノ発
2025年05月21日
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は5月7日、上院の質疑に出席した。防衛費の引き上げや4月17日に行われたドナルド・トランプ米大統領との会談などに関する質疑に答えた。首相は、NATOはポーランドなど東側諸国はもちろん、南側も考慮すべき局面にあるとして、イタリアは防衛費を2025年にGDPの2%に引き上げる意向であることをあらためて示した。また、防衛力強化は軍備にとどまらず、国境防衛やテロ対策、サイバー空間統制、重要インフラや海底・宇宙領域の保護などが含まれると付け加えた。
メローニ首相がトランプ大統領と米ホワイトハウスで会談した際に、今後数年間の対米投資額として言及した100億ユーロについて質問が飛ぶと、当時は既に計画されていた金額だとして、両国相互の経済関係や、対米貿易戦争を回避するために示したものだと主張した。また、同会談では米国からの液化天然ガス(LNG)輸入を増やす方向性が示唆されたが、イタリアはロシアのウクライナ侵攻後、エネルギー供給源の多角化を進め、米国からのLNG輸入量は2024年に50億立方メートル超となり、既に国別輸入先では2位となっているとも強調した。バイデン前米政権時から継続していることであり、米国関税措置を発表したトランプ大統領への便宜供与などではないことをアピールした。
トランプ米大統領との関係良好維持
トランプ大統領が4月2日に関税措置を発表して以降、最初にEU加盟国の首脳とホワイトハウスで会談したのはメローニ首相だった。同首相はトランプ大統領の就任直前の1月に大統領の私邸「マール・ア・ラーゴ」を訪問したが、ホワイトハウスでの会談は4月17日が初めてだった。イタリアの主要紙は、トランプ大統領がメローニ首相に対して「素晴らしいリーダー」と称賛し、「メローニ首相が就任している限り、米国にとってイタリアは最良の同盟国だ」とコメントしたことを右派紙、左派紙ともに一斉に報じた。また、報道によると、両首脳の会談に際して、トランプ大統領はEUとの相互関税に関する合意は100%可能だと述べ、メローニ首相も同大統領を公式にイタリアに招待し、EUとの話し合いの場を設けることに意欲を示している(ANSA通信4月17日)。
5月12日時点のイタリア政党支持率(注)は、メローニ首相の所属する与党第1党・イタリアの同胞(FDI)が30.4%で、前回の5月5日から0.3ポイント上昇した。野党第1党の民主党(PD)が22.4%、第3極の5つ星運動(M5S)が12.0%で、それぞれ0.1ポイント、0.2ポイント微減している。
(注)イタリアのテレビ放送局La7とマーケティング企業SWGの調査による。
(平川容子)
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