米カリフォルニア州、排出量取引制度を2045年まで延長へ

(米国)

ロサンゼルス発

2025年05月21日

米国カリフォルニア州は5月14日、排出量取引制度を2045年まで延長する方針を示した。この方針は同日、ギャビン・ニューサム知事(民主党)が発表した同州予算の修正提案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中で示しており、既存の「キャップ・アンド・トレード」から「キャップ・アンド・インベストメント」に改称する予定だ。延長により、生み出される収益が同州の高速鉄道プロジェクトなどの主要な気候変動対策に充てられるという。

同州の排出量取引制度は、アーノルド・シュワルツェネッガー元知事(共和党)が提案し、2006年に法制化した。温室効果ガス(GHG)を排出する事業者に対して排出枠を設定し、過不足分の排出枠を取引することで規制を順守する制度だ。排出枠を年々逓減するとともに、取引価格を年々漸増させることで、GHG排出量の削減を実現することを目指す。2030年に同制度が期限を迎える中で、ニューサム知事は4月15日に制度延長を議会会期中に求めることを発表していた。早めに延長の方針を示すことで、市場の確実性を高め、安定した投資を誘致し、気候変動対策でカリフォルニア州のリーダーシップをさらに強化し、2045年のカーボンニュートラル達成に向けた明確な道筋を示すことにつながるとしている。

カリフォルニア州商工会議所も同制度の延長を歓迎しており、ジェニファー・バレラ会頭は「知事の提案は経済成長と気候変動対策を同時に推進するものとして機能する」と述べている。

他方、ドナルド・トランプ大統領は4月8日、州の権限乱用から米国のエネルギーを守るための大統領令を発令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。その中で多くの州が米国のエネルギー優位性、経済、国家安全保障を脅かす気候変動・エネルギー政策を制定しており、事例の1つとして、カリフォルニア州の排出量取引制度を挙げている。その上で、企業の炭素排出量に不可能な上限を設けることで炭素由来のエネルギーの利用を罰し、企業が炭素クレジットを取引するために多額の費用を支払うことを事実上強制していると批判している。

(堀永卓弘)

(米国)

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