製薬大手の英アストラゼネカとスイス・ロシュ、上海周辺に相次いで工場建設
(中国)
上海発
2025年05月15日
英国製薬大手のアストラゼネカは5月8日、中国江蘇省無錫市で、小分子薬の新工場建設に着工した。4億7,500万ドルを投じ、主に現在開発中の心血管系治療薬を生産する。2028年第4四半期(10~12月)に稼働する予定だ。上海市からさほど遠くない無錫市には、2001年から運用を開始した既存工場もあるが、新工場が完工すれば、生産能力はさらに拡大する見通しだ。無錫工場は2024年に先進的な工場と称される「グローバルライトハウス」(注)に選出された。
アストラゼネカは1993年に中国進出し、上海市に中国本部を置いている。無錫市と江蘇省泰州市、山東省青島市に設けた生産拠点から、世界約70カ国・地域に医薬品を輸出している。同社は3月21日、総額25億ドルを投資し、北京市に世界で6カ所目、中国で上海市に続いて2カ所目となる研究開発センターも設立すると発表した(2025年3月26日記事参照)。
スイス製薬大手のロシュも5月8日、上海市浦東新区で、バイオ薬の新生産工場の着工式を行った。投資額は20億4,000万元(約408億円、1元=約20円)で、主に「バビースモ」という眼疾患の治療薬を生産するという。「バビースモ」は中国の国家医療保険薬品リストに既に登録されており、同社は現地生産を通じて販売拡大を狙う。
(注)世界経済フォーラム(WEF)は、世界の工場の中から、製造業企業の手本となる最先端工場を「グローバルライトハウス」として認定する。
(劉元森)
(中国)
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