インドのメディア・エンターテインメント市場、2024年に2.5兆ルピー突破
(インド)
ニューデリー発
2025年05月01日
インド商工会議所連盟(FICCI)と英国のコンサルティング会社アーンスト・アンド・ヤング(EY)が3月27日に発表した共同レポートによると、インドの2024年のメディア・エンターテインメントセクターの市場規模は前年比3.3%増となり、2兆5,000億ルピー(約4兆2,500億円、1ルピー=約1.7円)を突破した。新型コロナウイルス禍以前の2019年から3割増加している。
2024年のセグメントごとの数字を見ていくと、デジタルメディアが前年比17.0%増の8,020億ルピーで、全体の約32.1%を占めた。前年まで最大のシェアだったテレビ(全体の27.1%)を初めて上回った。次に伸びたライブイベントが前年比14.9%増の1,010億ルピー、その次のアウトオブホームメディア(OOH、注1)が同9.6%増の590億ルピーとなり、この3つのセグメントが市場の成長に寄与した(添付資料表参照)。
その一方で、アニメーション・VFXは、米国映画産業の中心地ハリウッドでの脚本家のストライキによってインドに委託されるプロジェクトが減少したことや、事業再編のために番組制作が遅延したことなどが影響して9.4%減となり、1,030億ルピーに縮小した。テレビの収益も、2年連続で減少しており、6,790億ルピーで前年比4.5%減だった。テレビの視聴者数は大きく変わらないものの、広告量と広告主が減少したことにより、広告収入が減少したことが理由として挙げられる。映画産業についても、映画館での収入が減少しており、オーバーザトップ(OTT、注2)プラットフォームとの競争が激化している。なお、動画のOTTプラットフォームによって提供される独占コンテンツが音声やニュースを含むデジタルサブスクリプション分野の成長を後押ししているとみられている。
インドのメディア・エンターテインメント市場は今後3年間で、5,640億ルピー拡大し(年平均成長率7%)、3兆670億ルピーの市場規模に達すると予想されている。また、2027年までにデジタルメディアとオンラインゲームを含む新しいメディアが市場規模の46%(2024年は約41%)を占めるとみられる一方で、テレビや印刷などの伝統的なメディアについては、市場規模の41%(2024年は約48%)となる見込みだ。
インドでは「メラ!メラ!アニメジャパン!!(MMAJ)」が首都ニューデリーで開催されるなど、日本のコンテンツが注目されており(2024年10月29日記事参照)、拡大するインドのメディア・エンターテインメント市場で、日本企業の活躍が期待される。
(注1)屋外広告など、家庭以外の場所で接触するメディアの総称。
(注2)インターネットを通じて映像や音声コンテンツを配信する動画配信などのサービス。
(佐藤利昭)
(インド)
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