四川省、「2025中国産業移転発展マッチングイベント」開催
(中国)
成都発
2025年05月20日
中国四川省の成都市で5月8~9日、中国工業情報化部と四川省政府の共催による「2025中国産業移転発展マッチングイベント(四川)」が開催された。今回のイベントは「新たな機会を共有し、ともに新しい産業チェーンをつくり出す」をテーマとし、人工知能(AI)や新型ディスプレー、ソフトウエア、航空、低空経済、新エネルギー、化学工業、新材料、バイオ・ヘルスケアなどの重点分野で、四川省への産業移転を目指すマッチングイベントだ。京東方科技集団やBYD、奇瑞汽車、国薬集団など中国大手企業が参加した。
9日の開幕式には、王暁暉・四川省共産党委員会書記や施小琳・四川省長、単忠徳・工業情報化部副部長らが出席した。施小琳省長は冒頭のあいさつで「四川省は新時代西部大開発と成都・重慶地区双城経済圏(注1)などの国家重大戦略を推し進め、経済の安定発展や発展モデルのグレードアップなどを通じた産業移転の受け入れ基盤を提供している。四川省は発展地域との産業連携を持続的に推進し、各地の実情に即した新品質の生産力(注2)を発展させ、国家産業チェーン、サプライチェーンの安定に貢献する」と述べた。
工業情報化部の単忠徳副部長は2025年の産業移転の取り組みについて、「市場メカニズムを発揮し、産業移転政策の実施環境を整備する。中西部地域の産業移転に向け、特色ある産業構築を支援し、産業移転の地域間協力の推進やビジネス環境と産業移転に関連する政策を最適化していく」と強調した。また「製造分野の外資参入制限措置の全面的撤廃を実施し、西部陸海新通道(注3)を利用し、外資企業による投資誘致の取り組みをさらに強化し、産業チェーンの川上・川下部分への外資系企業の事業展開を支援する」と述べた。
四川省政府は4月30日の記者会見で、前年3月に行われた同産業移転マッチングイベントの成果について、上海市、広東省、浙江省、福建省などの地域からの産業移転投資額は2,300億元(約4兆6,000億円、1元=約20円)に達し、主に設備製造業、先進材料、電信情報産業などの分野だったと言及した。
(注1)2021年10月に中国共産党中央委員会と国務院が新たな経済圏構想として、成渝経済圏の建設規画綱要を発表。同経済圏は重慶市の27区(県)と一部地域、四川省の成都市、自貢市など15市から構成される。
(注2)イノベーションが主導的役割の、伝統的な経済成長モデルや生産力の発展ルートを脱した高い技術・効率・品質という特徴を備えた新発展理念に合致する生産力とされる。
(注3)主要ルートは、重慶市から貴州省、広西チワン族自治区を経由して、東南アジアへ至るルートと、重慶市から雲南省を経由して、東南アジアへ至るルート。その他、重慶市から湖南省を経由するルートや、成都市を起点とするルートもある。
(王植一)
(中国)
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