インドとパキスタンが停戦に合意

(インド、パキスタン)

ニューデリー発

2025年05月13日

インド外務省は5月10日、パキスタンとの軍事衝突(2025年5月8日記事、5月9日記事参照)に関して、両国が全ての軍事行動を停止することに合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。インドおよびパキスタンの両軍事作戦総局長が電話会談を行い、合意した。また。米国国務省は、マルコ・ルビオ長官やJ.D.バンス副大統領が両国と協議を続けて実現したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。同日には、インド、パキスタンともに双方の停戦合意違反を非難する声明(インド外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますパキスタン外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を出したものの、5月12日に両国の軍事作戦総局長が再び会談を行い、相互に攻撃を控えることや、国境や周辺地域の両駐留部隊の縮小に向けた協議が行われた、と報じられている(「タイムズ・オブ・インディア」紙など5月12日)。

インドのナレンドラ・モディ首相は5月12日に行った演説で、攻撃がカシミール地方でのテロ事件を受けた対テロ作戦であることをあらためて示し、「インドのミサイルやドローンによるパキスタンのテロリスト拠点への攻撃は、武装勢力の建物だけでなく戦意も奪った」と述べ、インド国防省による「シンドール作戦(注)」の戦果を強調した。また、「テロとの戦いには一切妥協しないことが、より良い世界の保障につながる」とし、今後、インドがテロの被害を受けた場合には、反撃を辞さない姿勢を示した。

停戦合意を受け、インド民間航空省は5月12日、一時的に民間航空運航を停止していた32の空港の閉鎖解除を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

(注)シンドールは、ヒンドゥー教徒の既婚女性が髪の分け目につける赤色の粉を指す。テロ事件では、ヒンドゥー教徒の男性が主な標的となり、犠牲となった男性に寄り添う妻の姿が大きく取り上げられ、インド全体に悲しみや怒りが広がった。作戦名には、こういった国民の感情が込められているものとみられる。

(佐藤利昭)

(インド、パキスタン)

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