金融部門におけるAI活用の現状と展望をタシケントで議論
(ウズベキスタン、カザフスタン)
タシケント発
2025年05月02日
ウズベキスタン銀行協会主催のイベント「バンク・アンド・ビジネス・エキスポ2025」が、4月16日から18日までウズベキスタンの首都タシケントで開催された。イベント内で行われたデジタル技術に関するフォーラムでは、ウズベキスタンとカザフスタンにおける人工知能(AI)の金融部門への活用事例や展望が議論された。
オープニングセレモニーの様子(ジェトロ撮影)
ウズベキスタンのオレグ・ペコス・デジタル技術省第1次官は講演で、同国でのAI活用は金融機関が最も活発と指摘した。同時に、ウズベキスタン政府は金融機関によるAI活用促進を目的に、2025年6月に小型GPUクラスター(注)、2025年末までに大型GPUクラスターを整備する予定だと述べた。特に大型GPUクラスターは、国内の銀行がAIをサービスに活用するニーズをカバーする、と期待を寄せた。なお、ウズベキスタン政府は2024年10月にAI戦略を策定し、AI開発や技術導入についての目標を設定していた(2024年10月24日記事参照)。
フォーラムで講演したウズベキスタン中央銀行のソディル・メリバエフ副総裁も、ウズベキスタンの多くの銀行がすでにAIの導入に取り組んでいる、とジェトロのインタビュー(4月17日)で述べた。例えば地方銀行は、顧客からの問い合わせに対する適切な対応や、利用者の識別、小口融資の審査迅速化などを目的にこの技術を導入している。
ウズベキスタンの大手民間銀行カピタルバンクの展示ブース(ジェトロ撮影)
カザフスタン大手金融機関ハルク銀行のナリマン・ムクシェフ経営委員会副委員長はフォーラムでAI導入の意義を述べた。同行では、インテリジェント・アシスタントの試験導入により、日常的な業務プロセスの自動化と顧客とのやり取りの改善を実現。その結果、従業員の生産性を25%向上させたと述べた。
カザフスタン国立銀行(中央銀行)の調査(2024年4月23日)によると、カザフスタンでは商業銀行の60%がAIを利用しており、中央アジア地域でAI技術の活用が特に進んでいる。
(注)複数のGPU(Graphics Processing Unit、画像処理や並列計算などを行う演算装置)を相互接続して構成されたコンピュータ・クラスター。非常に高い計算能力を持ち、大量のデータを同時処理できるため機械学習やAI開発などに利用される。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(ウズベキスタン、カザフスタン)
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