関西企業が高度外国人材の採用・定着の取り組みを披露、大阪でセミナーを開催

(日本)

大阪本部ビジネス情報課

2025年05月21日

近畿経済産業局は513日、ジェトロとの共催で、関西の中堅・中小企業を対象に、高度外国人材の採用・定着に関するセミナーを大阪で開催した。当該分野の専門家が講演したほか、高度外国人材を雇用する関西企業2社が登壇し、自社の経験を紹介した。

セミナーでは、外国人材の採用・定着支援で多数の経験を有するアールアドバンス代表取締役の綾戸高志氏が、「高度外国人材の採用・定着の戦略」というテーマで講演した。高度外国人材の採用メリット、採用時の留意点、受け入れ体制の在り方について、具体例を交えて説明した。その上で、「海外とのビジネス強化や、ダイバーシティ経営推進という観点において、外国人材は強力な推進役となる」と強調した。

続いて、高度外国人材の活躍推進事例として、関西企業2社が登壇し、パネルディスカッションを行った。

兵庫県尼崎市で金属加工業を営むヤマシタワークス常務取締役の山下徹也氏は、外国人材を採用するに至ったきっかけを紹介した。同社は、最近まで新卒採用を日本人学生のみを対象に行っていたが、採用競争の激化により採用に至らないという課題を抱えていた。そのような中で、外国人材の就職フェアの案内があり参加した。就職フェアでは、面談の前に同社の事業を調べ、自身の専門性をどう生かせるか熱意をもって語る優秀な学生に出会うことができた。以降、外国人材の採用に重点を置くことを決め、現在5人の外国人材を雇用している。日本語能力よりも人柄を重視して採用したが、周りの社員がやさしい日本語を使って話しかけることで、コミュニケーションが十分に取れている、と語った。

大阪府と滋賀県で空調機器部品製造業を営む千代田空調機器取締役の尾崎真司氏は、外国人従業員に定着してもらうためのポイントを説明した。同社では、工場がある中国で採用した人材を多く受け入れている。中国の大学卒の学生を採用するにあたり、大学との関係を構築するところから開始したこと、また採用後の安全教育や日本の文化・マナーについては従業員の母国語で教える方が効率的であることを指摘した。日本人社員は意見を言わないことが多いが、外国人社員は積極的に意見を言い、社内の活性化につながった、と述べた。周りの社員からの後押しもあり、中国人社員の1人は2024年に係長に昇進し、活躍している。

写真 パネルディスカッションの様子(近畿経済産業局撮影)

パネルディスカッションの様子(近畿経済産業局撮影)

パネルディスカッションには、両社で働く外国人従業員も参加し、日本での就職を決めた背景や就職先選定の理由、就労先の受け入れ体制に関する評価、仕事上の楽しみ・やりがいなどについて、意見がでた。

(上野由加里)

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