日本製紙、ケミカル事業で欧州初の生産拠点をハンガリーに開所

(ハンガリー、日本)

ブダペスト発

2025年05月16日

大手製紙メーカーの日本製紙(本社:東京都千代田区)は5月13日、ハンガリー・ブダペスト近郊のバツラトートに、同社ケミカル事業では欧州初となる生産拠点を開所した。同日の開所式には、村上泰人常務執行役員や、ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相、小野日子駐ハンガリー日本大使らが出席した。

同社は、2023年2月に同拠点設立を発表(2023年2月10日記事参照)後、生産設備や組織体制などの準備を進めていた。2025年2月に同生産施設がほぼ完成し、電気自動車(EV)向けリチウムイオンバッテリー資材のCMC(カルボキシメチルセルロース)の生産試運転に着手している。

開所式で、日本製紙ケミカルヨーロッパの吉川裕治社長は「3年にわたる拠点の設置検討を経て、今年2月に試運転を開始、本日ようやく正式開所に至った。(日本製紙として)海外初のCMC生産拠点であり、EVバッテリー市場に参入できることを喜ばしく思う」と、ハンガリー進出への期待を語った。

また、シーヤールトー外務貿易相は「15年前と比較すると、今やハンガリーに進出する外国企業は、アジアが8割、欧米が2割と比率が逆転した。日本製紙には23億フォリント(約9億4,300万円、1フォリント=約0.41円、5月15日ハンガリー国立銀行為替レート)の補助金を支給する。今後も世界第2位のEVバッテリー生産国を目指す」と、EV産業への揺るぎない支援を強調した。

(宮内安成)

(ハンガリー、日本)

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