「サブコン・タイランド2025」開催、日中欧主要メーカーがシンポジウムに登壇

(タイ)

バンコク発

2025年05月21日

部品サプライヤーや下請け業者など製造関連企業が出展する大規模展示会「サブコン・タイランド2025外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」がタイのバンコク国際展示場(BITEC)で514日に開幕し、17日まで4日間にわたって開催された。タイ投資委員会(BOI)、タイ・サブコン振興協会、イベント会社インフォーマ・マーケッツが主催した。世界各国から46,000人を超えるビジネス関係者が来場した。自動車や電気電子、機械部品などの購買や調達に向けて、多数の商談やマッチングが毎年実施されている。

写真 オープニングセレモニーの様子(ジェトロ撮影)

オープニングセレモニーの様子(ジェトロ撮影)

オープニングセレモニーでは、ピチャイ・チュンハバジラ副首相兼財務相が基調講演の中で、「タイにおいて、自動車や電気電子を中心とした製造業のサプライチェーンを強靭(きょうじん)化することは、国際的な競争力を高めるために重要」とした上で、「本イベントを通じて、タイ製造業の持続可能な未来に向けて、ビジネス上のコラボレーションの可能性を見つけてほしい」と期待を寄せた。また、ピチャイ氏は、講演中に「内燃機関車(ICE)と電気自動車(EV)を並行して進めていくことが必要」という発言を繰り返し、タイ自動車産業にとってICEも重要な要素だと示唆した。

写真 タイ製造業の重要性を示唆するピチャイ氏(ジェトロ撮影)

タイ製造業の重要性を示唆するピチャイ氏(ジェトロ撮影)

14日午後にはBOIシンポジウムが開催され、日本、中国、欧州から主要な自動車メーカー6社(注)が、電動車(xEV)の未来についてのパネルディスカッションに登壇した。ナリット・タードサティーラックBOI長官は冒頭、タイ政府の野心的な目標である2050年までにカーボンニュートラル、2065年までに二酸化炭素(CO2)ゼロ排出を実現するためにも「タイを次世代代自動車ハブとして位置づける」とした。さらに、「xEVを促進することが脱炭素分野や、持続可能で環境に配慮した輸送分野の変革において重要だ」と、未来技術も含めた次世代自動車の推進に意気込みを示した。

写真 次世代自動車の推進を強調するナリット氏(ジェトロ撮影)

次世代自動車の推進を強調するナリット氏(ジェトロ撮影)

今後の電気自動車開発の方向性や計画については、各ブランドの販売状況に応じて電動化のタイプは異なっている。タイ・ホンダの岩波浩司CEO(最高経営責任者)は「中古電気自動車の残存価格はICEと同程度になるべき」と述べ、バッテリーの寿命改善は技術的にまだ困難だが、2040年までには解決したいとした上で、「現時点のベストはハイブリッド車(HV)」とコメントした。また、タイ・トヨタの山下典昭社長は、カーボンニュートラルに向けたマルチパスの電動化・低炭素化の選択肢を提供していく考えを示した。

メルセデス・ベンツ・タイのマーティン・シュベンクCEOは「タイ市場では、完全なEVへの移行をためらう顧客がいる」として、幅広い製品をそろえているという。特に、プラグインハイブリッド車(PHEV)は引き続き販売しつつ、EV転換を進めていくことを強調した。また、BMWタイのレネ・ゲルハルトCEOは「タイで15種類の完全電動化モデルを展開」する一方、「方向性としては完全な電動化にも、完全な内燃機関にもしない」と、サステナビリティを追求するにあたり、技術的にオープンであり続ける姿勢を示した。長安汽車(CHANGAN)東南アジア事業部のグアン・シン副総裁は「市場の将来はバッテリー技術や、政府の政策による支援、充電インフラに左右される」とコメントするとともに、「バッテリー式電気自動車(BEV)、PHEVHV、そして、3月にタイで発売したレンジエクステンダーEVREEV)を含む幅広い製品を発売する予定」と幅広く電動化していく方向性を示した。

写真 日中国欧主要自動車メーカーのパネルディスカッション(ジェトロ撮影)

日中国欧主要自動車メーカーのパネルディスカッション(ジェトロ撮影)

(注)タイ・トヨタ、タイ・ホンダ、長安汽車(CHANGAN)、MG、メルセデス・ベンツ・タイ、BMWタイが登壇した。

(藤田豊、近添優子、ピンラウィー・シリサップ)

(タイ)

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