石破首相が訪越、多角的貿易体制の維持・強化やベトナムの産業高度化推進などで一致

(ベトナム、日本)

ハノイ発

2025年05月01日

石破茂首相は4月27~29日、ベトナムの首都ハノイ市を公式訪問した。ベトナム共産党の指導部4役(書記長、国家主席、首相、国会議長)との会談のほか、進出日系企業との車座対話や、高付加価値産業創出に向けた日越協力フォーラムなどに参加した。日本がODAを通じて支援する日越大学も訪問した。

28日のファム・ミン・チン首相との会談では、国防・安全保障や人的往来・交流など、幅広い分野について協議し、共同プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発出した。経済分野では、半導体やデジタルトランスフォーメーション(DX)/グリーントランスフォーメーション(GX)、エネルギーなどでの協力や、多角的自由貿易体制を維持・ 強化する方向で一致した。脱炭素化やエネルギー転換を図るために2国間で協力する液化天然ガス(LNG)や新エネルギーの電力開発などに関する14案件のパイロットプロジェクトのリストや、半導体分野を含む先端科学技術分野での人材交流などについても記載した。

同日午後には在ベトナム日本大使館とジェトロ、ベトナム国家イノベーションセンター(NIC)などが「ハイテク・GX・半導体分野における高付加価値産業創出に向けた日越協力フォーラム」を開催した。石破首相やチン首相をはじめ、両国の官民関係者250人以上が参加した。

ベトナムで産業の高付加価値化に取り組む日系企業として、トクヤマ(半導体ウエハー原料・多結晶シリコンの製造)、トロムソ(バイオ炭の農業利用)、IHI(燃料アンモニアによる脱炭素化)、パナソニック(ITによる製造業のDXソリューションなど)、ニプロ(医薬品、最先端医療機器製造)の5社が登壇した。ベトナムからはFPT(IT)、T&T(エネルギー開発)、CMC(IT)の3社が登壇し、日本企業と連携した取り組みについて発表した。

石破首相はスピーチで「サプライチェーンで密接に結びつく日本とベトナムにとって、世界経済の不透明性が増す状況では、ともに協力して、産業の高度化に取り組むチャンスだ。ベトナムの産業を高度化し、外的なショックへの強靭(きょうじん)性を高めることが両国にとって利益だ」と述べ、産業高度化に官民一体で取り組んでいくと表明した。

チン首相は「ハイテクやグリーン、半導体などで、両国の実質的で効果的な連携がさらに促されることに期待したい」と述べた。

フォーラムでは、両首相立ち会いの下、両国企業・機関間で協力案件に関する5件の文書交換式も行われた(添付資料表参照)。

写真 日越協力フォーラムでスピーチする石破首相(ジェトロ撮影)

日越協力フォーラムでスピーチする石破首相(ジェトロ撮影)

写真 フォーラム会場の様子(ジェトロ撮影)

フォーラム会場の様子(ジェトロ撮影)

(萩原遼太朗)

(ベトナム、日本)

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