米オープンAI、UAEでスターゲート計画始動、オラクル、ソフトバンク、エヌビディア、シスコと連携
(米国、日本、アラブ首長国連邦)
サンフランシスコ発
2025年05月30日
米国のオープンAIは5月22日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで、次世代人工知能(AI)インフラプラットフォーム「スターゲートUAE」を始動すると発表した。これは、同社が各国政府と連携してAIインフラを整備する新構想「オープンAI各国連携プログラム(Open AI for Countries)」の第1弾で、米国外では初の展開となる。
スターゲートUAEは、5月15日に開催されたドナルド・トランプ大統領とムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーンUAE大統領の会談において正式に発表された「米国・UAE AIアクセラレーションパートナーシップ」および、同パートナーシップのもとで開かれた「UAE–米国AIキャンパス」に基づくもの(2025年5月21日記事参照)。
本プラットフォームでは、UAEの政府系のAI企業G42が建設資金を提供し、オープンAIと米オラクルが運用を担う。エヌビディア、シスコシステムズのほか、日本のソフトバンクグループもパートナーとして参画する。初期段階で、エヌビディアの「グレース・ブラックウェルGB300」チップが使用された最新AIサーバーが設置される。
UAE-米国AIキャンパスプロジェクトの総敷地面積は10平方マイル(約26平方キロメートル)に及び、最終的には合計5ギガワット(GW)のAIデータセンター容量を備える。このうち、スターゲートUAEは1GW規模のAIコンピュータクラスターで構成され、最初の200メガワット(MW)分は2026年中の稼働が予定されている。電力は、原子力、太陽光、天然ガスを利用した火力発電などから供給されるという。
さらに、UAEはこの提携の一環として、全国民に対しチャットGPTプラスを無償提供する予定で、オープンAIによれば、国内の全人口が同社の技術にアクセスできる世界初の国となる予定だ。
オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は「UAEに米国外初のスターゲートを設置することで、大胆なビジョンを現実に変えつつある。これは、オープンAI各国連携プログラムの初のマイルストーンであり、安全な医療、個人に最適化された学習、次世代エネルギーといった重要なブレイクスルーを世界中に届けるための第一歩だ」と述べた。
また、ソフトバンクグループの孫正義会長兼CEOは「米国でオープンAI、オラクルとともにスターゲートを発表した時、われわれは次の情報革命のエンジンを築こうとしていた。今回UAEが自国のデータ主権を守りつつ、主導権を持って運用できるAIプラットフォームを導入したことは、スターゲート構想がグローバルに適応できることを証明している」と述べた。
(松井美樹)
(米国、日本、アラブ首長国連邦)
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