重慶市、科学技術革新拠点となる「4大実験室」の設立を加速
(中国)
成都発
2025年05月13日
中国・重慶市において、嘉陵江実験室が4月27日、正式に発足した。同実験室は金鳳実験室に続き、重慶市政府により2番目に設立された「重慶実験室」だ。
「重慶実験室」とは、重慶市政府が推し進める4大科学技術革新拠点(注1)として、同市内の金鳳、嘉陵江、明月湖、広陽湾の4つの地区に実験室を配置する計画を指す。嘉陵江実験室は、重慶市高新技術産業開発区にある西部科学城に位置し、重慶大学を基盤として設立された。また、「デジタルインテリジェンス+設備」を主な領域とし、知能ロボット、インテリジェント計算システム、マイクロナノデバイス・システム 、計測技術・計器、スマートコネクテッドEV(電気自動車)、人工知能(AI)の6つの研究プラットフォームを構築した。
さらに、スマート物流・交通研究センターやマイクロナノデバイス・マイクロシステム研究センターを設立したほか、賽力斯集団(セレス)やユニツリー・ロボティクス(宇樹科技)などの企業とスマートコネクテッドEV、知能ロボット分野での産学連携を進めてきた。
金鳳実験室は、最初に運営を開始した「重慶実験室」で、ライフヘルスケアに関連する課題やボトルネック技術に着目し、「重大疾病の次世代診断(NGS)」(注2)を中心としたライフヘルスケア・イノベーション拠点の柱となっている。
また、現在設立に向けた準備が進められている明月湖実験室は、重慶新エネルギー貯蔵材料・設備研究院を基盤とし、最新のエネルギー貯蔵材料、高性能軽量材料などの重点領域に焦点をあてる計画だ。
(注1)2024年7月、重慶市科学技術革新と人材大会が開催され、「416」科学技術革新計画が取り上げられ、デジタルインテリジェンス技術、ライフヘルスケア、新材料、グリーン低炭素という4大科学技術革新拠点の構築を力に入れるほか、人工知能(AI)、ブロックチェーン、クラウドコンピューティング、ビッグデータなど16の重要戦略分野の発展を積極的に推進することとなった。
(注2)次世代診断(NGS)とは、融合性とスマート性の2大特徴を備え、病理・画像・検査・臨床情報を診断基盤とし、BT-IT技術(バイオテクノロジー‐情報技術)を柱とした新たな疾患表現型オミクスおよび次世代の診断学理論・技術システムを構築するもの。
(曾小桐)
(中国)
ビジネス短信 af0d04ad499a7473