アブダビ投資フォーラムが開催、グローバル投資拠点としての魅力を紹介
(アラブ首長国連邦、日本)
調査部中東アフリカ課
2025年05月16日
アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資事務所(ADIO)と、アブダビ・グローバル・マーケット(ADGM、注1)は5月9日、「アブダビ投資フォーラム」を東京で開催した。フォーラムでは、シハーブ・アフマド・アル・ファヒーム駐日UAE大使の基調講演と、アブダビの投資環境に関するADIOの講演のほか、アブダビ政府や企業関係者によるパネルディスカッションなどが行われた。
アル・ファヒーム大使は基調講演で、アブダビは石油中心経済から多角的経済へ方向転換し、先端的製造業や観光、デジタルイノベーション、再生可能エネルギーの分野へ戦略的に投資していると述べた。また、包括的経済連携協定(CEPA)の締結にも注力し、すでに27カ国と合意(注2)していると述べ、2024年9月に交渉開始した日本とのCEPA(2024年9月19日記事参照)締結への意欲も語った。
基調講演を行うアル・ファヒーム駐日UAE大使(ジェトロ撮影)
パネルディスカッションは、「アブダビ:グローバル展開を支えるビジネス拠点」「技術インフラを構築してグローバルな成長を加速させる」「アブダビ:世界の資本が集まる都市」の3つのテーマで行われた。
「アブダビ:グローバル展開を支えるビジネス拠点」のパネルでは、アブダビ経済開発局と商工会議所、税関、空港、ハリーファ経済特区アブダビ(KEZAD)が登壇し、官民での進出支援や、投資・貿易手続きの効率化の取り組みなどについて意見交換が行われた。アブダビ証券取引所と政府系投資会社ムバダラ、金融機関などが登壇した「アブダビ:世界の資本が集まる都市」のパネルでは、投資環境の魅力について、世界各地からのアクセスの良さや1兆7,000億ドルもの豊富な資本、ADGMでの英国コモンローの適用などが紹介された。また、周辺地域への投資ゲートウェイとしてのアブダビの立ち位置も強調され、日本からの投資機会増加への期待が語られた。
パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
また、ADIOと日本企業の覚書(MOU)締結も行われた。ADIOとみずほ銀行、みずほインターナショナル(Mizuho International plc)は、日本からアブダビへの投資促進に向けた業務協力に関するMOUを締結した。また、ADIOと伊藤忠商事は、アブダビの重点分野における伊藤忠商事投資先企業のアブダビ進出を支援する戦略的提携に関するMOUを締結
した。
(注1)アブダビ首長国の金融サービス促進機関・経済特区。
(注2)27件のうち、2025年5月15日時点で次の9カ国とのCEPAが発行している。インド、イスラエル、インドネシア、トルコ、カンボジア、ジョージア、コスタリカ、モーリシャス、ヨルダン。
(久保田夏帆)
(アラブ首長国連邦、日本)
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