メローニ・イタリア首相が米EU仲介、バンス米副大統領、欧州委委員長と3者会談
(イタリア、米国、EU)
ミラノ発
2025年05月23日
イタリアのジョルジャ・メローニ首相と、J.D.バンス米副大統領、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は5月18日、ローマの首相官邸で会談した。
メローニ首相は冒頭、4月の米ホワイトハウスでのドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で提案した米EUの対話が早期に実現したことに感謝の意を示した。また、イタリアが仲介の役割を担うことに意欲を示し、「今日は米国とEUの貿易交渉の最初の会談だ。新たな始まりになることを期待している」と述べた。4月の米イタリア首脳会談の際、トランプ大統領は「メローニ首相が在任している限り、米国にとってイタリアは最良の同盟国だ」とコメントし、両者は友好関係を維持している(2025年5月21日記事参照)。
バンス米副大統領は「メローニ首相が米国とEUの架け橋となるという申し出は、トランプ大統領と自分は喜んで承諾し、今回の会談を楽しみにしていた」と述べた。また、欧州は米国の重要な同盟国という認識を示した上で、どんな友好国同士でも意見の相違があるように、米国と欧州の間にも貿易問題などがあるが、合意し協力関係を築けるはずだとした。
フォン・デア・ライエン委員長は、米EUは年間1兆5,000億ドル超の世界最大の貿易関係にあり、それゆえに専門家による深い分析と、詳細についての議論をすることが重要との見解を示した。防衛費の拡大については、EU加盟国もその必要性を認識していることや、欧州委としても今後4年間で最大8,000億ユーロを防衛力強化の投資に充当可能にしていることをあらためて強調した。
3者会談は1時間超に及び、具体的な内容などは明らかになっていないが、5月19日付のイタリア主要紙「コリエレ・デラ・セーラ」によると、EUからは米国産の液化天然ガス(LNG)や武器などの輸入を増やすことによる対米貿易黒字削減などが提案されたのではと観測されている。
(平川容子)
(イタリア、米国、EU)
ビジネス短信 ad52e533a32050dd