中国水素エネルギー産業発展報告、2024年の水素生産・消費量は3,650万トン

(中国)

武漢発

2025年05月09日

中国の国家能源局は4月28日に行った記者会見で、「中国水素エネルギー発展報告(2025)」を発表した。同局省エネルギー科技装備司の徐継林副司長によると、同報告は2024年の世界の水素エネルギー産業の発展を体系的に整理し、2025年の水素エネルギー産業の発展を展望するものとなっている。

報告の2024年情勢編では、政策発表、市場規模、価格水準、イノベーションと応用、国際協力、標準認証など6つの側面から、国内外の水素エネルギーの発展情勢を体系的にまとめている。2025年から正式に施行された「中華人民共和国エネルギー法」において水素エネルギーの開発と利用を積極的かつ秩序立てて推進し、水素エネルギー産業の質の高い発展を促進すると明確に規定された(2024年11月12日記事参照)。

中国各地では、これまで560以上の水素エネルギー関連の政策が発表されている。2024年の水素エネルギーの年間生産・消費規模は3,650万トンを超え、世界1位となった。2024年末までに、全世界の再生可能エネルギーによる水素製造プロジェクトの累積生産能力は、年間25万トンを超え、中国が世界全体の50%以上を占めた。水素燃料電池車(FCV)の実証応用は着実に進んでおり、中国には540カ所以上の水素ステーションが建設され、FCVは約2万4,000台が普及している。中でも北京市、天津市、河北省、上海市、広東省、河南省鄭州市、河北省では、合計で1万5,000台以上のFCVが普及した。

報告の2025年展望編では、政策協調の強化、コア技術の研究の推進、公共サービス体系の完成、水素エネルギーのパイロット事業の推進、国際市場の開拓など5つの側面から、関連する展望を示している。

2025年は「第14次5カ年規画」の終了年であり、「第15次5カ年規画」の計画年となる。国家能源局は、「第15次5カ年規画」期間も引き続き水素エネルギー産業政策を推進し、水素エネルギーのエネルギー管理への統合に関する作業を積極的に実施する。また、水素エネルギー分野の重要技術設備の開発と応用実証を加速し、水素の「製造、貯蔵、輸送、利用」の産業チェーン全体の発展を促進するとしている。

(高橋大輔)

(中国)

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