上海モーターショー開催、日系メーカーは新車種を世界初公開
(中国)
上海発
2025年05月02日
第21回上海国際汽車工業展覧会(上海モーターショー)が4月23日、中国の上海市国家会展中心において開幕した(会期は5月2日まで)。26以上の国・地域から約1,000社が出展。展示面積は36万平方メートル超で、13の屋内展示ホールが使用され、100台以上の新車や新技術が公開された。
日系メーカーのトヨタ自動車は、現地開発モデルとして純電動車(バッテリー式電気自動車、BEV)セダン「bZ7」を世界初公開した。広州汽車集団、広汽トヨタおよび現地研究開発(R&D)拠点であるトヨタ知能電動車研究開発センターが共同開発を行い、トヨタとしては初となる華為(ファーウェイ)車載OS「Harmony OS」を搭載した。また、レクサスブランドからは新型「ES」を世界初公開した。ハイブリッド車(HEV)とBEVの2種類のパワートレインで提供するとしている。
ホンダは、「烨(イエ)」シリーズの第2弾となる「広汽Honda GT」と「東風Honda GT」を世界初公開した。中国新興企業のモメンタと先進運転支援技術の共同開発を行い、ディープシークの中国発の人工知能(AI)技術を採用。ディープシークは、すでに販売を開始している「烨(イエ)」シリーズ第1弾の「S7」と「P7」にも搭載する(注1)。
日産自動車は、鄭州日産との共同開発による新型プラグインハイブリッド車(PHEV)のピックアップトラック「Frontier Pro」を世界初公開したほか、東風日産が生産し4月27日に発売を開始したBEV新型セダン「N7」を展示した(注2)。
中国メーカーのBYDは、傘下の3ブランド「DENZA」「方程豹」「仰望」とともに出展した。ブースの外枠には、「新エネルギー車世界1位ブランド」(注3)と掲げた。BYDは2月にインテリジェント化戦略を公表(2025年2月18日記事参照)。今後、7万元(約140万円、1元=約20円)台の車種にも搭載していく高度運転支援システム「天神之眼」の技術を展示した。また、3月に発表した5分間の充電で航続距離400キロメートル(km)を実現する車載電池を含む「超級eプラットフォーム」など最新技術も紹介した。
寧徳時代新能源科技(CATL)は、新たな車載電池技術を発表した。5分間の充電で520kmの航続を可能とする「第2世代神行超充電池」、エネルギー密度を高めたナトリウムイオン電池「納新(Naxtra)」、異なる化学体系の電池の組み合わせを可能にし、最大航続距離1,500kmを実現する「驍遥デュアルコアバッテリー」を発表した。また、CATLはチョコレート型電池(注4)の交換ステーションも展示。モーターショー期間中に、第一汽車、長安汽車、北京汽車、奇瑞汽車、広州汽車の5社はCATLのチョコレート型電池を導入した10車種を共同で発表した。CATLは、2025年内に中国国内の30都市に1,000個の交換ステーションを設置する計画を示した。
このほか、会場では、電動垂直離着陸機(eVTOL)や人型ロボットなど、AIや自動運転技術などを活用した最新技術も数多く展示された。
日系メーカーの世界初公開車(左:レクサス「ES」、右:日産自動車「Frontier Pro」)(ジェトロ撮影)
中国地場企業の展示(左:第一汽車の空飛ぶクルマ、中:小鵬汽車の人型ロボット、右:BYDの運転支援システム)(ジェトロ撮影)
(注1)S7は東風ホンダ、P7は広汽ホンダで生産。
(注2)鄭州日産は、東風汽車との合弁会社で小型商用車の生産・販売を行っている。「N7」は、4月27日に広東省広州市で開催した発表会で、11万9,900元(約240万円、1元=約20円)の価格を公表し話題を呼んだ。また日産は、1年以内に同モデルを中国から輸出することも発表している。
(注3)2025年第1四半期では、BEV乗用車でテスラを抜いて世界一の販売台数となっている。
(注4)同社が製造する、板チョコレートに似た形状の交換専用電池を指す(2022年1月24日記事参照)。
(神野可奈子)
(中国)
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