BYDがハンガリーに欧州本部を設立、海外進出を加速

(中国、ハンガリー)

上海発

2025年05月21日

新エネルギー自動車(NEV)大手の比亜迪(BYD)は5月16日、ハンガリーの首都ブダペストで欧州本部の設立を記念する式典を開催したと発表した。欧州本部は、交通の要衝や産業集積地でもあるブダペスト11区に置かれ、販売・アフターサービス、車両の認証・テスト、車種の現地化設計・車載機能の開発からなる3つの中核事業を担うという。研究開発(R&D)では、まずは自動運転支援機能および次世代自動車の電気化技術の開発に力を入れる。今後は少なくとも3つのハンガリーの大学と共同研究を行い、現地サプライヤーなどと提携してNEV産業チェーンのグレードアップを推進する計画だ。ハンガリーでは近年、中国との良好な関係を背景に中国からの投資が拡大しており、中でも自動車関連企業の進出が活発化している(2025年1月22日記事参照)。

BYDは得意な電動化技術を活用し、2016年にハンガリー北部のコマーロムに電気バス工場を設立し、同国とグリーン交通分野での協力を始めた。2023年末には、欧州初のNEV乗用車工場を建設するとも発表した。今回の欧州本部設立について同社は、製品・サービスの現地化とブランド力を高めるとともに、「一帯一路」構想の下で中国と欧州とが協力する典型例となることを期待しているという。

BYDは、2024年の自動車販売台数が427万台を突破し、NEVの世界首位を維持した。2025年に入っても好調が続き、英国やイタリアなど欧州市場で販売を拡大している。中国自動車工業協会(CAAM)の発表によると、BYDの1~4月輸出台数は前年同期の約2.1倍の29万3,000台と急増し、首位の奇瑞汽車(0.3%減の34万1,000台)に次いで2位にランクインした。

(劉元森)

(中国、ハンガリー)

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