アマゾンがチリにデータセンターを開設
(チリ)
調査部米州課
2025年05月09日
アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は5月7日、自社のウェブページ上で、3カ所のデータセンター(注)の開設を含む新規投資をチリにおいて実行すると発表した。AWSにとっては、ブラジル
とメキシコ
に続く、中南米域内で3カ国目のデータセンターの開設となり、チリ国内の顧客へのクラウドを通じたサービス提供の質を高める目的で行われるもの。データセンターの稼働は2026年中と発表されているが、同センターの接続、稼働、メンテナンスなどを含むAWSのチリへの投資総額は、40億ドル超にも達するとされている。
AWSの発表の中では、チリ国内の主要顧客として、アンドレス・ベジョ大学、ラタム航空、大手銀行のバンコ・デ・チレ(Banco de Chile)、エネルギー大手のコペック(Copec)、薬局大手のサルコブランド(Salcobrand)、小売り大手のセンコスッド(Cencosud)などの著名な企業・団体が紹介されている。また、各種の研修プログラムを開講し、2017年以降、チリ国内で10万人以上、中南米域内では200万人以上の人材育成にも携わったと紹介されている。
データセンターを誘致し、域内のハブを目指す
チリ政府は、シンガポール、ニュージーランドなどの国々とデジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)を締結する(2025年1月27日記事参照)など、以前からデジタル経済の発展を国として後押しする姿勢を見せている。2024年12月には、科学技術・知識・イノベーション省を中心とする9つの省庁が作成した「データセンター国家計画」を発表した。同計画は、チリを中南米における先端技術のハブとして位置付ける上で不可欠なデータセンターの誘致を促進するための枠組みと手段を定めたもの。デジタル産業の拡大や投資誘致のみならず、カーボンフットプリントの削減などによる産業の持続可能性の促進や、各種の規制緩和、官民の連携推進についても掲げている。
(注)AWSのリリースの中では、「アベイラビリティーゾーン
」として紹介されている。
(佐藤竣平)
(チリ)
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